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第24話 歯車の光と、過去の影

手のひらで欠けた歯車が温もりを帯び、淡い金色の光を放ち始めた。

 光は細い糸のようになり、前方の水面の回廊へと伸びていく。

 その糸は揺れながらも途切れず、まるで私たちを次の目的地へと誘っている。


 「行くしかないな」

 中村が静かに呟き、歩みを進める。

 私はその背中を追いながら、胸の奥で妙なざわめきを感じていた。


 光の道を渡るうち、周囲の景色が変わっていく。

 水面は次第に黒く濁り、遠くに巨大な柱のような影が見えた。

 その影は天井まで届き、表面には無数の文字のような模様が刻まれている。


 ――その瞬間、視界が白く弾けた。


 短い映像が脳裏をよぎる。

 それは中村が誰かの前に立ちはだかり、両腕で大きな扉を押さえている姿。

 背後では、目を閉じた少女が淡い光に包まれていた。


 「……っ!」

 私は息を呑む。今のは――中村の記憶?


 視界が元に戻ると、中村は歩みを止めていた。

 彼もまた、何かを思い出したように目を細めている。


 「……守っていた。あの時も……誰かを」

 低く呟くその声には、かすかな悔しさが混じっていた。


 しかし、立ち止まる暇はなかった。

 柱の影がゆっくりと動き出し、私たちの方へ顔を向ける。

 顔――そう見えたのは、石でできた仮面のような異形だった。


 「……次の相手はあいつか」

 中村が欠けた歯車を握り締め、私も武器を構えた。

 光の道はまだ続いている――だが、その先へ進むには、この門番を倒すしかない。

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