モラル (ブラックコメディー)
ある小学校での道徳の授業、山吹先生が来るまで教室はざわついている。
そこへ、教室の扉を開けて先生が入ってきた。
山吹先生は、優しそうな笑みをうかべて、生徒達に話だした。
「みなさーん、今日はね、人として生きていく為に、大切な話をしたいとおもいます」
先生が話だすと、さっきまでざわついていた教室が、シーンとなった。
先生は生徒達の間からは人気があった。だから、このクラスでは最近世間で騒がれている学級崩壊など無縁である。
先生は童顔を隠す為に最近のばし始めた髭をさわりながら、前列に座っている生徒に、質問をしだした。
「悟くーん、人として、してはいけない事は、何だと思うかな~?」
悟は、大好きな先生にあてられたので、嬉しそうに、答えた。
「えーと~ 人の持ち物を盗む事でーす」
「うん、そうだね、人の物を盗む事はダメなことだね」
先生はS男の答えに満足そうに、うんうん うなずいた。
「ほかには、ないかなぁ~、」
先生は、教室を見わたした。
「はーい、先生」眼鏡をかけた、3つあみのみどりが、手をあげている。
「はい、みどりちゃん どうぞ」大きい声でみどりが、答える。
「お友達と、喧嘩することでーす、それと、悪口を言うことです」
みどりは、発言が終わると、少し恥ずかしかったのか、ぽっと頬が赤くなった。
「そうだね、そうだね、ささいな喧嘩から、国同士のいがみあいが始まり、戦争に発展
したとゆう過去の歴史なんかが、あるからね~ ありがとう もう座っていいよ~」
みどりが、着席してから、先生は教壇からでてきて、生徒の机の間をゆっくり歩きながら、
話を続けた。
「いいかーい、みなさん 今、先生が話したり、質問したりした事が、道徳って言うんだよ~
難しくないでしょう。みんなが、大人になっていく上で、大切なルールなんだよ~ モラル
とも言うかな~、とにかく、みんなには、人の嫌がる事をする大人には、先生なってほしく
ないんだよ~」
先生はさっき発言したS子の頭をなでながら、「分ったかな~みんな~」と
言って、教壇に戻った。
「それじゃ~ 今日の道徳の時間は、これで終わります。あ、それと、さっき少し、居眠り
していた本山君は、放課後、先生の所に来てくださいね。特別に先生が、補習を行いますので・・・」
起立・礼、こうして先生の道徳の授業は終わった。
それから、2週間後……
悟が、朝食を食べながら、TVのニュースを見ていた。
「ね~ ママ~ 山吹先生がTVに出てるよ」悟が興奮した様子で言った。
朝食を作り終わって眠そうな~母親がTVの画面を見た。
TV画面のテロップには、猥褻ハレンチ教師逮捕の文字が躍っている。
画面では、朝のワイドショーでお馴染みの人気キャスターがN容疑者の事を
まくしたてている。
「なんと~ 授業が終わってから、男子児童を呼びだして、ワイセツ行為に、およんでいたとゆうんだから、驚きですね~ みなさーん」
TVのコメンテーターが「本当、世も末ですな~」
ほんと、世も末である。