5.母との再会
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「ようこそ。ここが今日からミリアが帰ってくる家よ!」
レレアが紹介する家は女性が4人、生活するには十分な大きさだと外見からわかった。
庭は鬼ごっこもできる程に広く、池までついている。そこには魚が数匹。
異世界でも池で魚を飼うんだな……。
「すごいね、ルビア!」
「はい。そうですね」
ここでもルビアは驚かずに平常運転だ。
「そろそろ、中に入りましょう。お母さんが待ってる」
あ! そうだった。お母さん……アリアが居たんだった。
どうしよう……レレアの時みたいに緊張して何にも話せなかったら……。
色々な感情が頭をよぎり、あたふたしている私にルビアが一言。
「心配ないですよ、ミリア様。奥様はお優しいお方ですので」
「ルビア……」
ルビアの一言で私は深呼吸をして、落ち着く。
こんな時ルビアの言葉は本当に温かい。
「ありがとう、ルビア。もう大丈夫」
「はい」
それから私たちは大きな扉を開け中に入った。
「先に私がお母さんと話してくるわ。ここで待っていて」
「わかりました……」
そう言うとレレアは入ってすぐにある階段から2階に上がっていった。
外見から見た通り中も広く家具が充実していた。
使用人の1人や2人、居るのかと思ったがどこにも見当たらなかった。
「お待たせ。行きましょうミリア」
少ししてからレレアが戻ってきた。
それから私とルビアも階段を上がり2階へ。
2階は1階と違って、部屋がいっぱいあった。
「ここよ」
複数ある部屋の中から、1番手前の扉の前でレレアは止まった。
ここに母がいるのだ……。
やはり少し緊張する。だけど、さっきルビアが言ってくれた一言を思い出し私は再び落ち着く。
「……ミリア大丈夫?……」
レレアも私の緊張に気づいたようで心配そうに見つめている。
「はい。もう大丈夫です。行きましょう」
私がそう言うとレレアは「じゃあ……」と扉を開けた。
扉を開けた先には優雅に紅茶を飲んでいる女性の姿。
髪はレレアと同じで真っ赤だ。瞳は綺麗な青色。
「お母さん……」
私に気が付くとアリアは嬉しそうに微笑んだ。
「……久しぶり、ミリア」
その言葉を聞いた瞬間私は、アリアの元へ駆け出していた。
「お母さん……!」
「あらあら。甘えん坊さんなのは変わってないのね」
飛びついてきた私をアリアは優しく抱きしめた。
「大変だったわね。ミリア……」
「……」
何も言わずに私はそのままアリアを抱きしめた。
もう今の私にとっては本当の母親なのだ。こうして抱きしめるのも別にいいだろう。
あ、そうだ。これは言わなきゃ……。
「お母さん私……記憶が……」
「大丈夫よ。さっきレレアから聞いたわ。それより本当にあなただけでも無事でよかった」
アリアは私を強く抱きしめる。
嬉しくてたまらないのだろう。自分の娘が無事に帰ってきたことが。
だが、アリアの体は震えてもいるのがわかった。
なぜ震えているのか、私はすぐにわかった。
父の事だろう。
離婚したとはいえ、やはり元旦那が亡くなるのには耐えられないのだろう。
「ルビアも、ミリアを守ってくれてありがとう」
「いえ、当然のことですので」
アリアは震えが止まるとさっそく、これからの話を始めた。
「ミリアはこれからまた私の娘としてここに住んでもらいます」
「はい。わかりました」
当然の事だろうとは思っていた。
私の最初の家とやらも恐らくあいつらに占領されているだろうし……。
「お母さん、私ミリアを学院に通わせてあげたい……」
レレアの唐突なお願い。
というか、学院ってなんだ? 私が知っている学校のようなものか?
いや、この世界には魔法もあるし、きっと魔法を学ぶ場所だな。
「……それは……」
「お願い。お母さん」
「そうね。ミリアも、もう大きいものね。いいわ、学院に通わせましょう」
ちょっと待って、勝手に話が進んでるんだけど……。
私の意見は!?
「奥様、レレア様。ミリア様のご意思が優先かと……」
側でそっと聞いていたルビアが私の心情を読むように、補助をしてくれた。
本当に、ルビアはできたメイドさんだ!
「そうね。ミリア、あなたはどうしたい?」
「私は……」
とりあえず、学院というものを知らないし、見学にでも行って決めたいな……。
「学院がどういう場所かわからないので見学してみてから、決めてもいいでしょうか……?」
「もちろんよ。そうね……そうと決まれば明日レレアと行ってきたら?」
私はレレアの方に顔を向ける。
レレアは少し迷っているようだった。
自分から学院を進めておいて迷うもんなのかねー……。
私は少しの疑問を抱える。
「私と……はい……大丈夫です」
レレアはしぶしぶ了承した。
「じゃあ、今日はもう遅いしこのくらいにしましょうか」
アリアはポンと手を叩くと話を終了させ立ち上がった。
「レレアとミリアはお風呂に入っちゃいなさい。ルビアは私とご飯の準備をお願い」
「はい。かしこまりました」
ルビアは早々に了承したが、私はまだできないでいた。
なぜってそりゃあもちろん、女の子とお風呂に入るなんて初めてだからだ……。
今は女の子とはいえ、前世が男であることに変わりはない。
「行きましょう。ミリア。久しぶりにお姉ちゃんと洗いっこしよ」
レレアの純粋な眼差しがひどく心をえぐってくる。
まあ、いいか。
これは、私に許されたご褒美なのだから。
「はい。行きましょうか」
◇
「どうしたの? ずっと壁の方ばっかり見て……」
「いや、なんでもない……です……」
お風呂の洗面所にて。
私は極力レレアの体を見ないよう、必死であった。
「お姉ちゃん先入っちゃうよ……?」
「……はい。先に行ってて大丈夫です……」
服を脱ぎ終えたレレアは浴室に入って行った。
ふー、理性がどうにかなってしまいそうだ……。
てか、今考えたら私……姉に欲情するド変態な妹じゃない!?
まあ、それはそうと私も早く脱いで、早く入って、早く出よう。
私は自分が身に纏っていた服をすべて脱ぎ終えると、浴室に入ろうとした。
だが途中で大きな鏡に全身が映る自分に気が付き少し慌てた。
だが、なぜか自分の体だと思うと、普通に落ち着いた。
まあ、私……胸そんなにでかくないしな……。
そんな、自分の貧相な胸を眺め終えると、私はやっと浴室に入った。
入ると中は広く、シャワーヘッドも数個用意されていた。
まるで、温泉だな……。
数個あるうちの1番奥の方でレレアがシャワーを浴びているのに気づくと、私は自分から1番近いシャワーヘッドの前に立った。
さすがに隣に来られたらレレアもキモイと思うだろう……。
そう思いシャワーから水を出すと。
「ミリア……やっぱりお姉ちゃんとお風呂は嫌だったのね……!?」
後ろの方からレレアの泣き声が聞こえてくる。
慌ててシャワーを止めると、姉の泣いている場所まで駆け寄る。
「姉さん。そんなことないよ……」
「うそ……! だってお姉ちゃんから1番遠いところでシャワー浴びてるし、お母さんが『二人で入ってきて』って言った時も嫌そうな顔してたもん……!」
レレアは早口言葉の様に早口で言葉を並べた。
どうしよう……。レレアにこんな一面があるとは……。
とりあえず緊張していたということにしておこう。
「き、緊張してたの……私、記憶がないから姉さんと一緒し入っていいのかわからなくて……」
「そう……だったのね。ごめんなさい、私の早とちりで……」
よし。何とかうまくいった。
「でも、大丈夫よ。言ったでしょ? 記憶はゆっくり戻していけばいいって。気にしなくていいのよ」
「あ、ありがとう……」
レレアは咄嗟についた嘘に真剣に答えてくれた。
何か心の中で罪悪感が出てきたが、そのままにしておこう。
「それでね……ミリアが嫌じゃなかったら、お姉ちゃんに背中流さしてくれない……?」
あっ、そう言えば私もうレレアの体全身見ちゃってるじゃん……!
でも、興奮とかしないな……。
やっぱり、女の子になったからだろうか、心までも女の子になって行っている気がする……。
「いいですよ。背中流してもらいたいです!」
「やった! ありがとう!」
レレアは嬉しそうに飛び跳ねた。
そして気づかずに、タイルの上を転がっていた石鹸に足の裏が重なる。
そしてそのまま……。
――バタンッ
「いててててて……」
滑ったレレアと共に私も倒れこんでいた。
そして気づけばレレアの下敷き……。
目の前に大きなふくらみが顔面に感じた。
――そう、胸だ!
レレアの胸は私とは違い、大きく育っている。
ふわふわで柔らかい。
「あら。ミリア! 大丈夫!? ごめんなさい……私、嬉しくてつい……」
レレアは下敷きになっていた私に気づくと早々にどいてくれた。
申し訳なさそうにしている、レレア。
でも、私は気にしなかった。なんたって、おっぱい顔面ダイブだ。さすがに興奮した……。
「気にしてないですよ……それより、背中流してください」
「ありがとう……! じゃあ、背中さっそく洗うわね」
レレアはタオルに石鹸を付けると、優しく私の体を洗った。
「姉さんも洗いますよ!」
「え? 私もいいの?」
「もちろんです!」
私はレレアからタオルを取ると、そのまま背中を向けるレレアの体を優しく洗った。
それから、私たちは一緒に湯に浸かった。
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