エピソード5:酒飲みおじさんの闇鍋パーティ/ 2
本間は言った。お嬢ちゃんも参加しな、めしやまさんと一緒に。……和茶はまず、名前の訂正からしなければならない。和茶は自分の苗字が「めしやま」ではなく「いいやま」であることを伝え、闇鍋パーティへの参加を断った。1度は断った。しかし、和茶よりノッてしまっている一香を見ているうちに、心が折れた。いい具合に。
彼女である一香には、なるべく笑っていてほしい。不器用で淡白な恋愛しか出来ない和茶だが、そういうことはちゃんと思うのだ。そんなわけで、和茶は本間に、一香と2人で参加する旨を伝えた。すると、本間はニヤリと笑った。そうこなくっちゃな、と。続けて、本間は言う。闇鍋パーティは、普段から交流のない住人とも会えるいい機会だぜ、と。
まぁ、それはそうだ。しかし、和茶は第一に確認しておかなければならないことがあったことを思い出した。
「あの、本間さんはどっち側なんスか?」
「俺?んー……攻め」
「んなこた聞いてないです。生きてんですか、死んでんですか!」
「特殊体質」
特殊体質。生きているか、死んでいるか、そう聞いて返ってきた答えが、特殊体質。和茶が微妙な表情をしていると、本間が言った。あっちぃから部屋に上げてくれりゃ色々と話すけど。……一香とお家デートの真っ最中だったのに。そもそも、一香は和茶と本間のやり取りに付いてこれているのだろうか。生きてるとか死んでるとか。
和茶は、いつか言わなければと思っていたことを一香に言った。この、デッド・ハイツがどういうアパートなのか。そのことを。
「一香、落ち着いて聞いてくれ」
「私、大体のことは受け入れられるけど?」
「そりゃそーだけど!ここ、天然のお化け屋敷なんだ」
「……和茶君、好きだねぇ。大学のサークルも心霊サークル、自宅も心霊スポット。感心しちゃう」
和茶は心の中で捲し立てる。いや、違う、違うんだ、一香!俺は好きで心霊サークルに入っているわけじゃないし、好きでお化け屋敷に住んでいるわけじゃない、勘違いして変な方向に持って行かないでくれ!!……一香もかつて心霊サークルにいたと聞いているが、その反応はどうかと思う。和茶の心の声は一香の耳には届かない。
和茶は色々と諦め、本間を部屋に上げることにした。一香とのデートは本間が帰ったら「外で」しよう、邪魔が入らないように、と。




