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デッド・ハイツ〜死ぬほど愉快なアパートに引っ越してしまいました〜  作者: はしたか みつる


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エピソード2:塩分を求める死者 / 3

 扉の向こうから、返事がした。うちの美嘉子がお邪魔していませんか?という返事。声と言葉から察するに、美佳子の婚約者の高木という男であろう。和茶は目で美嘉子に尋ねる。婚約者さん?と。美嘉子が苦笑いをしながら頷く。時刻は6時を回っていた。恐らく、仕事から帰ってきたら美嘉子の姿がないので、探しているのだろう。


 和茶は玄関の鍵を開けた。扉向こうには、眉を八の字にした1人の男が立っていた。美嘉子の婚約者、隣人の1人、高木という男。美嘉子は醤油瓶を持って、高木に駆け寄る。高木は美嘉子の手の醤油瓶を見て、困ったように笑う。──買い物に行った形跡もないし、どこのお宅にもいないし、まさかこちらにいるとは。



 「すみません、美嘉子がご迷惑を掛けてしまって」


 「あー、いや、色々と勉強になりました……」


 「こーちゃん!お醤油を切らしたら、和茶君が分けてくれるって!」



 ……はい?いつ、誰が、そんな約束をしました?しかし、こういうところで流されやすいのが、飯山 和茶という男なのだ。飯山家の男は大体が押しに弱い。和茶も例に漏れなかった。和茶は「こーちゃん」と腕を組んで、和茶の部屋を去って行った。和茶に、また来るね!と言いながら。……この件、嶺想寺に話してみようかな。


 和茶は心の声に従い、同じ一階の管理人室を訪ねた。部屋の扉越しに聞こえてくるのは、カキ氷を作る、しゃりしゃりという音。もう夜に近いとはいえ、暑い。カキ氷、一杯作ってくれないかな。和茶は淡い期待をしながら、管理人室のチャイムを鳴らし、リョーソージさーん、と、大家の男を呼んだ。しかし、扉を開けたのは……。



 「……ん?」


 「ん?です」



 小さな女の子だった。遅れて嶺想寺が部屋の奥から現れて、ぐいっと玄関扉を開けた。そして、嶺想寺はにこやかに言った。──彼女はデッド・ハイツ担当の座敷童さんだよ。……デッド・ハイツに入居してから、和茶はたまにこう思うことがある。自分は異世界へ迷い込んだんじゃないか、と。しかも、永遠に出られないような。

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