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おまけ最後 真エピローグ

「――……そういえば、そんなこともあったわね」



グラファイト公爵夫人アスーナ・グラファイトは昔の出来事を思い出していた。


元婚約者とのドッキリがきっかけで婚約破棄。今の夫との突然の婚約。妹との離別。元婚約者への断罪。今となっては夫との大事な思い出だ。絆を深めることが遂げできたという意味では本当に……。



「どうしたんだい? なにかいいことでも?」


「ふふふ、貴方と婚約するきっかけを思い出していたの」


「ああ、それは懐かしいな」



アスーナの夫ハラド・グラファイト公爵も懐かしそうに顔を緩める。二人が結婚して夫婦になってから十年近くが経過していた。この十年で息子と娘を儲け、幸せに生活していたのだ。


ただ、ハラドは公爵で今の国王の右腕として忙しい毎日のようだが。



「子供達はリビングかな? 明日から隣国に行かなきゃいけないから今日は思いっきり甘やかしたいんだけどね」


「甘やかされたいのは貴方じゃないの?」


「ははは、そうかもな」



ハラドは隣国のゲンムズ王国に向けて外交を担当することになっている。つまり、明日からしばらく屋敷に戻れないわけだ。妻と子供たちに会えなくなる。ハラドにとって一番の苦痛なのだ。



「アスーナ、あの国は気難しいというか個性的な人が多い。だけど、だからこそ隣接している我が国としては気が気でないんだ。君たちのためにも俺たちがしっかり外交していかなければならない。……残念なことにね」


「私は貴方のことを誇りに思うわ。子供たちにもしっかり伝えていかないと……あら?」


「おや?」



アスーナとハラドが真剣な話をしている途中、二人の子供がドアを開けて入ってきた。アスーナとハラドの息子と娘だ。どうやら両親に構ってほしかったようだ。



「「お父様、お母様」」


「おお~、我が子達よ!」


「あらら、ハラドったら」



ハラドは真面目な顔から一転して子煩悩全開な無邪気な笑顔になって子供たちと戯れ始める。アスーナはそんな家族を愛おしく眺めるのであった。





エンド




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