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おまけ14 元伯爵令嬢の末路1

申し訳ありません。遅れました。

侯爵家で暴れまわったソルティアはアスーナに襲いかかろうとしたが阻まれて気を失った。その後、すぐにブラアラン伯爵家の屋敷に連れ戻されて、父ノゲムスと義兄リボールから説教を受ける羽目になった。



「お、お前はなんということをしたのだ……人様の屋敷で世話になっておきながら、暴れまわるとは……!」


「馬鹿だ馬鹿だと思っていたが、ここまでとは………!」


「…………」



ノゲムスは頭を抱え嘆き、リボールは怒り心頭だった。二人は、ソルティアが侯爵家に預けられる事になった時点で大きな迷惑がかかることは覚悟していた。だが、その覚悟が甘かったと痛感させられたのだ。



「格上の相手の屋敷で暴れまわるなど、令嬢の常識どころか人としておかしいではないか……!」


「それ以前に我儘し放題とは何事だ! いくらなんでもやっていいことと悪いことがあるわ!」


「…………」



ソルティアは何も言えない。言いたくもない。いくらなんでも屋敷で暴れまわったのは流石に不味かったと思い始めていたのだ。ただ、自分が一方的に怒られることに不満も抱いていた。



(なんで私だけが叱られなければいけないの? 相手……侯爵家だって、殴ったカリブラ様だって悪いはずなのに……)



義兄はともかく父親までが珍しく怒っている。そんなことさえソルティアは内心気に入らない。甘やかさなくなったが滅多に怒らないあの父親まで何故と本気で疑問に思うのだ。



(なんで私がこんな目に……)


「私が愚かであった。今は亡き妻の面影を残したお前を甘やかしたばっかりにこんな我儘で無知な娘になることになるとは……!」


「私も、もっと厳しくすればよかった。こんな容姿しか取り柄のない馬鹿になるくらいなら……!」


「――っ!?」



ソルティアは聞き捨てならない言葉を聞いた。『我儘』『無知』『馬鹿』。それらは散々カリブラに言われてきた言葉であり、ソルティアにとっては許せない言葉であった。それが身内からも口に出されてソルティアはもう黙っていられなくなった。



「お父様もお兄様も何を言うの! さっきから全部私が悪いみたいに言って! それもこれもお姉様とカリブラ様が悪いのよ!」


「「!?」」


「お姉様が無理やり私にカリブラ様を押し付けて……カリブラ様が私に優しくしてくれないのが一番悪いんじゃない! 私は暴れて反抗しただけ! 私はあまり悪くないじゃない!」


「「ッッ!!??」」



自分は悪くない。一番悪いのは姉と婚約者の男だ。ソルティアはそう叫んだ。そんな道理が通用するはずもない事もわからないで。勿論、ノゲムスとリボールはソルティアの言うことを真に受けることはない。



「この期に及んで……」


「いや、本気でわからんのか……」



ノゲムスとリボールは呆れてうなだれる。ソルティアが言い逃れをすることは予想していたが、口ぶりからすると本当に自分が悪くないと思っているようにも見える。こんな様子では自分たちがいくら叱っても反省する可能性は低そうだった。


そんな二人の態度にソルティアは更に怒りをあらわにする。



「何なのよ! なんで私ばかり上手くいかないのよ! こんなことなら私がハラド様に選ばれていれば、」


「「そんなことあるはず無いだろ!」」


「……え?」



しかし、そんなソルティアの怒りを遮って、ノゲムスとリボールは積もり積もった怒りを吐き出すように胸の内を吐露した。


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