表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

53/69

おまけ4 第29話補足

学園でカリブラが恥をかいて翌日、アスーナはグラファイト公爵家の屋敷に招かれた。



「ようこそアスーナ、我がグラファイト家は君を歓迎するよ」


「光栄ですわハラド様」



ハラドはアスーナを笑顔で出迎える。その直後、大きな白い犬が駆け込んできた。



「ワンワン!」


「まあ、大きなワンちゃん!」


「ああ、我が家の愛犬ポッピーだよ」



ポッピーはハラドの屋敷で飼っている犬だと聞いている。大きな犬で一見怖そうな印象を受けがちだが、アスーナはそんなふうに見なかった。むしろ目を輝かせてポッピーに抱きついた。



「あらあら、人懐っこそうで可愛い顔してますねポッピーちゃん」


「ワンワン!」


「おや? ポッピーの可愛さが分かるなんて流石アスーナだ」


「ワンワン。クウゥ〜ン」



出会ったばかりなのにアスーナとポッピーはじゃれ合う。



「そういえばアスーナも犬を飼っていたんだな。クロットという名前は知ってるけど、どんな犬だったんだ?」


「クロットはポッピーくらい大きく育った黒いワンちゃんです。私が幼い頃から飼っていたんです。ソルティア以外の家族みんなで可愛がっていました」


「そうか……って、ソルティア嬢は可愛がらなかったのか?」


「ソルティアも最初の頃は可愛がっていたんですが、クロットが大きくなると怖がってしまい……」


「すまない。野暮なことを聞いた……」



アスーナの顔が少し寂しげになった変化をハラドは見逃さなかった。そして聞いたことを後悔して話題を変えることにした。



「もしかしてクロットはポッピーと同じ犬種なのか?」


「そうですね。クロットのほうがポッピーちゃんよりも大きかったですが、顔つきと体格から同じだとひと目見て分かりました」


「そうか、それでポッピーが大きくて怖いって感じがしなかったんだね」


「ワンワン!」



ハラドがなるほどという感じで納得するが、アスーナはふと疑問に思った。



「え? 大きくて怖い印象を受けるのですか? ポッピーちゃんはこんなに可愛いのに?」


「大型犬だから噛まれたら痛そうとか考える人もいるのさ。ポッピーはこれでも60センチくらいだからね」


「クロットは70センチでしたよ。それでも私もお父様も義兄様も大切に可愛がってきました。ソルティアは違いましたけどね」


「70……ポッピーが怖くないわけだ」



ポッピーは大きくなりすぎたため、中々会わせられる来客がいなかった。そのため寂しい思いをさせたとハラドは思っていたのだ。それだけに、アスーナがポッピーのことを気に入ってくれて本当に嬉しかった。



「ワウンワウン!」


「あはは! 本当に可愛いですね〜」



ポッピーのことを第一印象で可愛いと思ったアスーナ。そんな彼女にポッピーも気に入ったようでじゃれ始める。そんな婚約者と愛犬の仲良しな様子が嬉しいハラドは考える。今日の予定の変更を。



(これは……大事な話は後で良さそうだな。アスーナが笑顔で愛犬とじゃれ合う……なんて愛らしい光景なんだろう。時間はたっぷりあるからもう少しこのままでいいか……)



実は手紙でカリブラがアスーナに迫ろうとして失敗したことを知ったため、これからのことをじっくり話し合おうとしていたのだが、自分の愛犬とじゃれ合うアスーナが愛おしくて後回しにすると決めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ