表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/69

第1話 始まりの婚約破棄

タースグバ王国。国の規模も大きくもなければ小さくもないという中堅国家。比較的平和で隣国との関係も良好な豊かな王国だ。そんな国でも馬鹿な貴族はいる。いや、絶対に出てきてしまうのだ。



それも、いい年して『ドッキリ』を楽しむような上級貴族の令息がいた。それは伯爵令嬢アスーナ・ブラアランの婚約者であるカリブラ・ゲムデス侯爵令息だ。



カリブラは上級貴族の令息でありながら、我儘で自分勝手でどうしようもない男だった。世界の中心に自分がいるというような考え方で、自己中心的で精神年齢が低くて底意地の悪い男。ハッキリ言って大きな子供という表現が当てはまるくらいだ。マゼンダの髪に黒い瞳の美男子だが、人格の問題から関係者に苦労をかけている。特に婚約者のアスーナがいい例だ。



伯爵令嬢アスーナ・ブラアランは、赤みのある黒髪のショートヘアに桃色の瞳の美少女。美少女といっても、例えるならば「可愛い」と「綺麗」の中間にいるような感じで、それなりに男女ともに人気がある。性格面でも「姉」という立場からか面倒見がいいため友人も多い。そんな性格が災いしてか、婚約者のカリブラに良くも悪くも絡まれることが多い。婚約が苦痛に感じることも多く、もはや嫌気すら感じていた。



そんな二人の婚約は、カリブラとアスーナの妹によるドッキリで終わることとなるのだ。





「アスーナ、君との婚約を破棄させてくれ」


「……今なんと?」



とあるパーティー会場にて、婚約者カリブラ・ゲムデス侯爵令息に呼び出された伯爵令嬢アスーナ・ブラアランは耳を疑った。彼女の顔に困惑の色が広がる。



「聞こえなかったのかな? 僕は君との婚約を破棄すると言ったんだ。そして、僕は君の妹と婚約するつもりでいるんだ」


「ええ!?」



だが、カリブラは更に驚くべき言葉を口にした。婚約破棄するとともにアスーナの妹と婚約すると口にしたのだ。



「そういうことなのよね~」


「ソルティア!?」



妹と婚約すると聞いて驚きの声を上げるアスーナの前に、青色の軽いウェーブのかかった長い髪と同じ色の瞳の少女が現れる。彼女の妹ソルティア・ブラアランだ。


そして、ソルティアはニヤニヤしながらカリブラの腕にしがみついた。



「実はわたくしとカリブラ様は愛し合っていますの。お姉様には悪いと思っているのですけどね~」


「ぶっちゃけ、君よりも彼女と仲良くなっちゃったんだ。これでもう分かるだろ?」


「……」



つまり、カリブラは妹のソルティアと婚約したいからアスーナとの婚約を破棄したいというわけだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ