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幼馴染がアイドルやめた  作者: 桜井正宗


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12/21

これからどうしよう

 直ぐに電話に出た。


『湊くん、今大丈夫かな』

「もちろんだ。てか、楓の方は大丈夫なのか?」

『今、事務所に止められて学校へ行けないんだ。ごめんね』


 やっぱりか。

 前川さんの情報は正しかった。

 なぜ知っているか企業秘密で聞き出せなかったけど。


「いつ来れそうなんだ? 会えたりしない?」

「学校はしばらく行けないかな。会うのは出来ると思う。……ていうか、会いたい」


 なんだか寂しそうに楓は言った。

 俺もだ。

 俺も楓に会いたい。


「どうすればいい?」

「放課後、駅に来て。そこで会おう」

「分かった。必ず行く」

「うん。じゃあ、電話バレるとまずいから、じゃあね」


 そこで通話は切れた。

 そうか、無理して電話をかけてくれたんだ。見つかったらきっと事務所の関係者に止められるだろう。それなのに楓は俺に会いたいと言ってくれた。

 こんな嬉しいことはない。


 今はただ、時間が経つのを待つしかない。


 午後の授業を淡々と受け、けれど俺は楓のことを考えていた。そう、授業の内容なんて入ってくるわけがなかった。


 そうして、やっと放課後を迎えた。


「ちょっと待ってください」


 立ち上がろうとすると前川さんが声を掛けてきた。


「すまん、急ぎなんだが」

「分かっていますよ。安楽島さんに会いに行くのでしょう?」

「なんでもお見通しか」

「ええ、まあ」


 否定しないとか、どんな魔法を使っているんだか。……もしかして、盗聴されてる?


「じゃあ、俺は行くから」

「ちょっと待つのです」

「どうして止める?」

「私の連絡先、教えておきたいのです」


 スマホを目の前に突き出される。画面にはQRコードが。なるほど、友達登録しろってことか――って、マジか!


 これは想定外すぎる。

 しかも前川さんからお願いされるとは……明日は嵐か?


「わ、分かったよ。確かに、前川さんと連絡できると何かと便利そうだし」

「そういうことです。困った時は株式会社・前川にご連絡を」


 そんな会社名なのか……。

 なんだかウソ臭いけど、俺は前川さんの連絡先をゲットした。



 学校を飛び出して駅へ向かう。

 ひたすら前を走っていく。

 普段運動なんてしないから、息が上がってくる。苦しい。でも、楓はもっと苦しいはずだ。

 最近、事件が起き過ぎた。

 しかも学校も行けないとか、相当なストレスを抱えていてもおかしくない。


 俺なんかで少しは気分を晴らせてもらえればいいのだが。


 横断歩道を渡り切ると、駅前にある環状交差点(ラウンドアバウト)に突入。そこを抜けると噴水がある。そこのベンチに楓らしき人影があった。



「楓、だよな?」

「あっ、湊くん!!」



 立ち上がる楓。サングラスにマスクという怪しい変装をしていた。服装も夏前にしては厚着で暑苦しいぞ。


「約束通り会いに来た」

「うん、きちんと約束を守れる人は尊敬する」


 上機嫌に笑う楓は、隣に座るように促してきた。俺は従い、楓の横に腰掛けた。


「世間は安楽島 楓の動きが気になって仕方がないようだぞ」

「知ってる。ニュースサイトで連日話題になってるもん。でも今は妹が上手くやってくれているから……多分大丈夫」


 ああ、そういえば楓には双子の妹がいるんだった。そっくりすぎて見分けがつかないんだよな。


「これからどうする?」

「もちろん、アイドルは辞めるよ。秋には引退になると思う」

「もうちょい先か」

「直ぐってわけにはいかないからね。事務所との都合もあるし」


 それもそうか。まだライブが残されていたり、これから発売する写真集とかCDもあるようだし。


「分かった。いつでも俺を頼ってくれ」

「ありがとう。じゃあ、さっそく頼っていい?」

「え?」


 油断していると楓が俺の手を握ってきた。

 小さくて細い指が絡んできて、心臓がバックンバックンと高鳴った。……楓の手、こんなに小さいのか。


「ど、どうしたんだよ……」

「元気を吸収中~」

「そ、そうなのか。俺のエネルギーとか闇属性だと思うぞ」


 陰キャ的な意味でな。


「大丈夫。湊くんから貰えるパワーは、わたしにとって高魔力だからね」

「楓はそういうゲーム系やるんだ」

「アプリゲームでね」

「そういうことか」


 そこで話が止まった。

 手は握られていて……まるで恋人みたいだ。

 こんな風に二人きりの時間を平和に過ごせるだなんて夢のようだ。


 けれど周囲はそうではなかった。


 次第に変装している女子が安楽島 楓であるとバレはじめていた。変装しているのに……ウソだろ?


「あれ、安楽島じゃね?」「うんうん、あの独特なオーラは間違いない」「そうだよな。隣は彼氏?」「噂の?」「え、マジかよ」「うわ~、小さくて可愛い」「サングラスしていても、あの大物感は隠せないよな」「ちょっと確認してくる!」


 楓のオーラってそんな凄いの!?

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