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お題シリーズ4

とある解答

作者: リィズ・ブランディシュカ



 俺は教師だ。


 今はテストの採点中。


 だが、悩んでいる。


 俺はテストの採点中にとある解答を知って、頭をかかえていた。


 まさか、こんな解答を解答欄に書くやつがいるとは。


 前々から変わっている生徒だなとは思っていたが、特に今はそう思う。


 テストにかかれた問題は特に、珍しいものではない。


 ありふれた問題だ。


 それは、テスト問題を作っている時に、点数配分を考えた後、遊び心で付け足したものだ。


 成績に直接影響はなくて、テスト問題を解く生徒達の息抜きにと用意したものだ。


 その問題は。


 ケンカしている相手の友達が次の日に引っ越すとしたら、この物語の主人公はどう行動すべきか?


 というものだ。


 国語の教科書に出ていた内容にもあったもので、友達と喧嘩した少年の話が題材になっているのだが。


 少しファンタジー要素もあって、友達の心が分かる妖精がいるのだ。


 だから、この場合の答えとしては。


 その妖精を捕まえにいく。


 とか、その妖精を友達にする。


 とかそういう解答が書き込まれる事が多かったのだが。


A:殴り合って友情を深める。殴り合って、自分が正しいという意見を貫く。殴り合って、ボコボコにして憂さを晴らす。


 その生徒の解答は問題しかないものだった。


(なんで殴る選択ししかないんだよ!?)


 俺は実際「はあああああ」と深いため息をついてしまった。


 テスト採点は職員室で行っているので、他の先生に訝し気な視線をもらってしまった。


 この生徒、絶対ろくな大人にならないだろうな。


 分かっているけれど、教師ができる事には限度がある。


 干渉しすぎると親からクレームがくる。


 しかし、まったく関わらないでいるのもクレームがくる。


 ちょうどいい距離感を保つ、といってもそれでは指導が必要な生徒に、必要な勉強を受けさせられない。


 昔だったら、熱血先生などは美談の存在として持ち上げられることろだが。


 今の時代はその辺り踏み込み過ぎると、危険。


 現代の教育事情はドライなのだ。


「どうしたもんかな」


 俺はその解答の事を考えながら、悩ましい気持ちでテスト採点を続けていった。


 テストの問題には大体の解答が用意されるが、現実の問題には解答が存在しない事が多いのだった。



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