私はデネブ
ちょっと早い七夕ですけど、頑張りました。
今日は七夕の日。
普通は短冊にお願い事を書くんだけど、私は今日好きな人――星田彦星に告白すると決めているのだ。
同じ生徒会のメンバーで、頼れる星田は小学生からの友達で普段は頼りないくせにいざっていう時には、かっこよく見える野郎なんだ。中学時代の時も告白しようとしたけど結局勇気が出ずに終わってしまったけど、もう高三。
これが最後のチャンスと言ってもいい。
登校中、星田から声をかけられてパニクってしまって変な返事をしてしまったことを後悔している。
だって、しょうがないだろ?好きな人に告白するぞぉ!って決めてる日に好きな人から声をかけられるんだから。普段とは違うんだよ。
放課後になるまでの間、私は緊張のあまり廊下や教室で星田を見ると露骨に避けてしまった。
星田は生徒会長の為、毎日生徒会室にいる。多分今日も生徒会室にいるだろう。
生徒会室に向かう途中、心臓が緊張して早鐘を打ち呼吸が上手く出来なくなってきて一旦立ち止まり深呼吸をして、落ち着かせる。
落ち着いた所で、生徒会室に向けて足を進めもう一度生徒会室の扉の前で深呼吸をする。
よし!行くぞ!と思い扉に手をかけた時だった。
生徒会室から二つの影が、向かい合って見え中から声がした。その声は緊張しており私にとっては聞きたくない内容だった。
「……あの。 星田君。 私と付き合ってください!」
声だけで誰か分かった――副生徒会の織姫菜奈だ。
織姫と彦星ってか……。お似合いかもしれない。
なら、扉の前に立ちさっきの内容を盗み聞きしてしまった私が取る行動は一つだ。
「おぉーい! 遊びに来たら告白の場面かよ! 気まづいなぁ! じゃ、私は帰るからおふたりはお幸せに!」
寂しさが悲しさが心を支配する前に、言いたいことは言えた。
涙もまだ堪えている。後ろを振り向いた時には涙は溢れ出して来た。
後ろから彦星が何かを言っていたが、聞こえない程に無我夢中で走り失恋の侘しさを紛らわせる。
階段を下り、靴箱へ行き靴を履き替え空を見上げると綺麗な星空達が二人を祝福していた。
綺麗な星空達と裏腹に私の心は、黒く落ち込んでいた。
溢れ出てくる涙を拭いほっぺを叩く。
私はデネブだ。二人を照らす光となろう。
ではまた。