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リリー13 (十六歳)

 


  ついに出会ってしまった主人公は、こっちをじーっと見ていた気がする。


  やな予感。


  さっきのあれで、私は主人公(ヒロイン)に敵視されるの?


  意味がわかんない。


  あんな少し離れた所からどーやって、関わってもいない私を悪役認定できるの?


  猫目の見た目?


  失礼じゃない?


  気のせいかな? 勝手な思い込み? ちょっとした悪役被害妄想入ってる?


  (まあでも、迎えに来てくれたグーさんは四番目だし…)


  「なんですか?」


  改めて観察してみたグーさんは、確かに王子様っぽさもあるけれど、やっぱり四番目感も否めない。


  まあ、大丈夫だよね。


  中途半端な四番目。


  授業が始まる前に、あちこちに連れていってくれたグーさん。だけどこんな大きな学校、一回見ただけじゃ絶対に覚えられない自信がある。


  だからグーさんの道案内は上の空で、グーさんに一番気になっていたことを聞いてみた。

 


  「そういえば私は以前グランディア様に、グーさんと口に出した事があるかしら?」


  「ありますよ」


  「!!」


  マジか…。やっぱりね…。どーりでね…。

  無意識って、怖いよね。


  「初めはまさか、それが自分だとは思いませんでしたが。貴女は私を見て、たびたびそう呼び掛けられていましたよ」


  にっこり笑うグーさん。


  私は自分の間抜けっぷりに驚いて、「ソウデスカ」と話を適当に終わらせて、その辺でちょうど学校案内も終了した。




 **




  つつがなくなんとなく日数は過ぎ去っていく。


  初めは新しい学校に慣れるだけで時が過ぎ、一週間も経つと、周囲を観察出来るようになってきた。


  私はね、お貴族ルールの二年間入学なのだけど、他の子は、小学生くらいからずっと通い続けてる子もいるみたい。


  いろいろと仲良しグループに分けられてるけど、やっぱりはっきりと、色分けチームで対抗戦してるかんじかな。


  黒VS白。紺と緑は、あんまり他の色とはっきりバチバチしてないかもね。


  まあでも、目に見えるバイオレンスな喧嘩は、今のところ校内で見たことはない。


  白も黒も、嫌味やメンチ対決が多いかも。


  私は何してるかって?


  私は今、番長を探している。


  とりあえず主人公には関わり合わない方向で、先に番長をどうにかしようと思ってる。


  ゲームでも漫画でも、番長って放っておくと後から出てきて目立とうとするから、私の出番にしゃしゃり出てこないように、調整してもらおうと思ってる。


  裏工作って、悪役っぽいでしょ?


  話し合いでなんとかするか、メンチを使わなければならないかは、ここの番長によるよね。


  それはそうと私のお友達グループは、やっぱり居たよねの警備員の子供たち。彼らが傍に来てくれたことにより、初日からぼっちにならずに皆でランチを食べているが、彼らがいることにより、私は他のいろいろメンバーズに、気軽に声をかけることもあんまり出来てない。


  だから表だって悪役だって、意思表明もまだ出来ていない。


  そういえば、皆さま、知ってる?


  悪役の登場シーン。あれってかなり、ナイスタイミングを狙わないと駄目なのよ?


  「おほほほっ」て、踏み出るのって、なかなか難しい。

 

  脱悪役したいのに、なんで悪役計画してると思う?


  だってパピーの強権力と、うちの警備員たちが番長に負けるはずないのよ。


  私、彼らに絶対の信頼を寄せている。


  番長に喧嘩売れるチャンスなんてなかなかない。しかも自分の強さとは関係なく、親の七光りと警備に護られた万全の環境。このチャンス、逃したくはない。


  別にタイマンしたいわけじゃない。


  ただこんにちはって、挨拶したい。私は強権力の持ち主だから、番長は怖くないのよって言ってやりたいだけ。


  他力本願って、悪役ならではだよね。


  だからこれを存分に利用してから、それからさりげなく悪役辞めようと思ってる。


  もちろんここに、主人公が乗り込んで来たら直ぐに撤退するつもり。


  そんな計画を考えて過ごしていた学園ライフだったけど、この日は別の悪役を発見した。


  「…えなーい!」


  え? なにあれ。


  「はっきり言いなさいよ」


  ちよっと、生意気じゃない?


  「聞こえないって、言ってんだよ!!」


  なんで私を差し置いて、あそこで悪役披露してるの?


  だから周囲を見回しここに主人公が居ないのを確認してから、悪役の座をオホホホって奪ってやった。


  ベストタイミングだったよね。


  私の横入りに一般の悪役たちは引き下がり、ついでに絡まれてた子にもはっきりと弱点を言ってやった。


  虐めって対処が難しいよね。虐められっこ庇ったら、庇ったこが標的に代わるって、永遠に終わらない、よく出来た虐めシステムが発動するの。

 

  だけど私、虐められることなんてあり得ない。


  だからこのネバーエンディング虐めシステムを、ぶった斬ることが出来るのよ。


  スパッ!


  これが悪役の強権力ってやつ。


  私が気を付けなければならないのは、強権力をヒロインパワーで押してくる、主人公だけなの。


  そんな感じで初めてオホホホってしたけれど、なんとそれが切っ掛けで、初めて深緑のお友達が出来た。

 


 

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