境界のフェアリー chapter1- 3
今日も変わらずメルくん探し。
でも噴水広場にはやっぱりメルくんの姿はない。
メルくんを攻略しないと、グレイ様が出てこないのにーっ!
ーードンッ!!
「きゃっ、」
悲劇!
なんでなの、またあのタトゥーの人にぶつかった。
「す、すいません、あっ!」
すぐに謝って逃げようと思ったら、ぐいっと腕を引っ張られる。
「な、なんですか?」
「……違った」
直ぐに離してくれたけど、なんなの?
腕が痛い。
でもさっきの強面の彼、よく見たら、すごくかっこよかったかも。
なんであの人にばっかり会うんだろう?
「まさかメルくんじゃないよね?」
違う違う。メルくんは少しやんちゃそうなだけで、あんなコワイ系じゃない。
メルくんに失礼な事を考えたせいか、今日も彼とは出会えなかった。
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境会の人たちは、みんなお揃いのマントを被っていて顔が見えない。
ゲームでも、顔が真っ黒な銀色マントだけのキャラだったけど、現実も覗き込めない深さのマントでやっぱり顔は見えなかった。
この人はいわゆるナビ。ゲームをサポートしてくれる境会スタッフの一人。
「本日の光石は、これだけですか?」
「あの、実は養父がリリー・ダナーに拐われて、養母の話だと、それから集める量が減ったみたいです」
「…そうですか」
無感情で苦手な雰囲気。
(人間なのかな…?)
いつも来るこの人は、低めの声の男性だけど、顔も見えないし手袋をはめてて年齢は不詳。
だけどこの日、仕事の話だけではなく、ついに学園のご案内の話が出た。
来年いよいよ、学園生活が始まる。
本格的にゲームが始まるんだ!




