5話 妹が可愛すぎて、部活
5話 妹が可愛過ぎて、部活
私のうさぎぱんつの話がどんどん広まっていく中、妹は部活へ行った。
女子バスケ部――。
ただでさえブラックなバスケ部のさらに女子バージョンなのだから、その環境は極めて劣悪。多分とてもきついだろうし、もっとも――
「私の苦手なタイプの人たちがいっぱいなのだ……怖いのだ……」
うさぎ狩りにあわないように、私はこっそり見るのだ。
お父さんと一緒に。
妹の部活見学に行くのに付いてくるか、冗談で連絡したところ、仕事を放ってやってきたのだ。校門の方から堂々と歩いてくるお父さんが見えたときは、夢でも見てるのかと思ったのだ。
「女子バスケってすごいな! 何がとは言わんが」
絶対おっぱいのことを言ってるのだ。でも、そういうのがすごいのは、ここだけ。
「ここでは、練習のときはノーブラでやるらしいのだ。監督の意向で」
「だからあんなに揺れてるのかあ」
「さらにノーパン」
「けしからん!」
「ノーパンは嘘」
「うさぎぱんつのくせにぃ!」
「なぜそれを知っているのだ⁉︎」
こんな感じで、私のお父さんは実に残念な人なのだ。
……本当に、なぜ知っているのだ。
「娘のそういう下の話に言及するのはやめるのだ」
「特にあの子がすごいな」
聞いてないのだ。お父さんの目は、野生のオオクワガタ(85mm超え)を見る少年のように輝いている。
「あれは、るんちゃんなのだ」
凛ちゃんのお姉さんであり、同じく明るい性格をしているが、その見た目は凛ちゃんの正反対。すらっと伸びた手足のモデル体型で、胸元もパンパン。羨ましいと言えばそれは真実になる。
それだけでも目立つのに、ドリブルが独特なのだ。あれは、反則なんじゃないのかと思うほど、低い。腰の曲がったおばあちゃんのようだ。それでおっぱいがぶるんぶるん跳ねているわけだから、実はバスケではなく、イメージビデオの撮影をしてるんじゃないかと私は思うのだ(名推理)。
バスケのディフェンスとして見ても、どれが本物のボールかわからなくなっているから、適当に手を出すと、三分の二の確率でファウルになってしまう恐ろしい技なのだ。
「まあ、そういう技術的なことはどうでもいいのだ。私バスケやったことないから」
「ところで私の娘はどこにいるんだろう?」
「妹は監督らしいのだ」
「か、監督って!」
見ると、コートの端で簡易的な椅子に座って部員を見ている人がいる。異常に美少女だから妹だとすぐにわかった。あとでアドバイスをするためなのか、ビデオを撮っている。
「あのビデオ、お父さん欲しくなってきちゃったな」
「貰えないと思うのだ」
「…………」
「…………」
「ちょっとだけ動画撮ろうかな」
「やめるのだお父さん!」
警察が来た。
ここにいることはそこまで問題ではないが、動画を撮ったことは流石に問題があるということだった。
「と、撮ってませんけど?」
言って、口笛を吹くお父さん。その口笛は、私がやりましたって言ってるのと同義なのだ。でも、現代において一周回ってブラフ、最早嘘つきの代名詞ではないのでは?
「お姉ちゃん、お父さん、どうしたの?」
家族二人が警察に問い詰められているという異常事態に、流石にやってきた妹。ついでにるんちゃんも。
「お父様ですよね? 初めまして」
「娘がお世話になっております」
「息子もお世話になっておりますって言わないのだ?」
「ああ、あとでお世話になります……あっ」
『To be continued......』