4話 妹が可愛すぎて、盗撮
4話 妹が可愛すぎて、盗撮
「何やら天井の方から『ゲフンゲフン』と咳き込む声がしたかと思えば、大きなカメラが天井から生えてきていて、しかもこんだけフラッシュ焚かれて、見上げたら銀行強盗みたいなうさぎのマスクしてる人が天井裏から覗いてたらホラーだよ!」
「こんな長台詞早口で言ってるのにオタク臭くないのはすごいのだ」
「話が通じないよお」
映画の音が聞こえなくてうるさいから、という理由で私たち3人は教室の後ろに追いやられたのだった。
「お姉ちゃん、盗撮はよくない……」
「最近調子に乗ってる凛ちゃんへの天罰なのだ」
「天罰だけに、天井から……」
「そうなのだ」
なぜか納得してくれたのだ。
「でも、盗撮はよくない……」
「私は悪くないのだー」
妹の声色はいつも通りだけど、何だかちょっとだけ、怒られたような気がするのだ。
「うーむ、シャッター音を隠すための咳でバレてしまうとは、策士策に溺れるとはこのことなのだ」
「策士はそんな策使わないと思うけど……あっさりバレちゃって、残念だったね」
言って、凛ちゃんはクスクス笑う。
が、
「いや、バレたけどバレてないのだ」
――そう、これは囮に過ぎない。
教室がざわつく。
スクリーンには、先ほどまでの映画は映っていない。そこに映っているのは――ぱんつだった。
スカートの下から撮ったぱんつ。
「内視鏡カメラなのだ!」
私が本当に撮りたかったのはパンチラ写真――いや、リアルタイムでのパンチラ動画なのだ。
凛ちゃんは私の背の低さを馬鹿にしてるものの、実際その高さは同じ。そうなると、第二ボタンまで開けている時点で胸チラなど誰もが一度は見ることになるのだ(実は私のお手柄なのだ。これを拝むときは私の顔を思い出すがいい!)。逆に、パンチラは貴重なのだ。
凛ちゃんは意外とガードが固い。
この手の女の子は、見せていいものは見せてくれるが、そうでないものは徹底的に見せてくれない。実際、黒板の下に仕込んである小型カメラでもパンチラは確認できなかったのだ(ちなみに妹はノーガードだっけど、眩し過ぎて見えなかったのだ)(Gackt)。
また、一年は一階の教室を使うため、階段を上がることがない、つまり階段でのパンチラも期待できないのだ。そうとは知らず、一週間ほど階段下で待機したことがあるのは今では良い思い出。
「悪く思わないでなのだ、凛ちゃん」
「え、ええ〜!」
しかし。
ここまでしといてあれなのだが、少し罪悪感があるのだ。なんかこう、思ったよりむちむちしているというか、お腹も気持ちやや出ているような気もする。見てはいけないものを見せてしまっているような……。
そんな私の心配とは裏腹に、凛ちゃんはスクリーンを平気な顔で見ている。それどころか、少し不思議そうな顔で見ているのだ。
「これ、私じゃないよ?」
「へ? まさか……」
こんなこと、今更考えたくないが……。
このぱんつには見覚えがある。
半歩下がる。
「私のぱんつじゃないか!」
私のぱんつじゃないか!
謎の内視鏡カメラと目が合ったのだ。私にこんなことをするのは、一人しかいないのだ。
「なんてことしてくれるのだ妹よおおお」
「良かれと思って……」
「たしかに私はおっぱいやお尻は見られるとそれだけ大きくなるってことと、それを凛ちゃんに勧めて、第二ボタンまでなら中までは見えないから目を引く分には丁度良いとか言ったことあるけど、これはなんの根拠もなくて、たとえ本当だったとしても別に私はお尻を大きくしたいとか思ってないのだ!」
「お姉ちゃんオタク臭い……」
「そんなあ!(爆破オチ)」