笹田という男2
ちょっと色素の抜けた茶髪に、母性本能を擽るような垂れ目がちの二重、眉と瞳の感覚は狭く、目鼻立ちも整っている。上にガタイもよく、身長は183cmある。
性格は人懐っこく気遣い屋、勉強もそこそこ出来るし運動神経もかなりのものだ。
今日も今日とて、サラサラで指通りの良さそうな茶髪を風に靡かせ、帰宅部な俺と共に学校帰りの道を闊歩する。
にこにこにこ。
こいつが笑うだけで、歩くだけで、周りの女子達がどよめく。………あの、俺もいるんすけど…。
俺だって自分磨きの末、中の上くらいな顔になったのに嫌味なぐらいに整った相方の顔を見ると、天然物には勝てないんだなって思ってしまう。
観察するような目をじろり、と訝しげに変えてみる。
「え、なに。さっきからじろじろ見て」
ラノベ主人公並みな鈍感さだ。
イケメン+鈍感=ハーレム……
なんかムカついたので軽く頭を叩いてやった。
「あ、笹田くんの頭にごみがー」
「…や、嘘だよね!?何そのやる気のない演技!」
「ほら、お前んちでゲームやるんだろ?さっさといくぞー」
気の抜けたような声の調子はそのままに、奴の背中をぽんっと押し出して先を急かす。ムゥ…と顔をしかめ、まだ納得がいってなさそうだ。
こんな雑な扱いをしてるが、笹田光輝はいい奴だ。昔からの幼馴染で………、……。
でも一つ、分からない事がある。
こいつ、いつから俺の側にいたんだ?
それを考えようとすると、幼き頃の思い出にふわふわと靄がかかる。
何かしらあるんだろうが、俺にとって悪影響はないだろうと思って詮索はしない。多分、本人にとってもそれが一番いいだろう。
笹田くんの正体はまた未来に明かされる予定です。