覇者の証
思い返せば、空中で減速したことがあった。
こいつが停止・停滞の化身だというのなら、あれはつまり――――
「お前があれをやったのか?」
『違うよ?』
―――違うのかよ。一瞬感謝しちゃったよ返せよ俺の感謝ァ!?
ではなく、クリュトゥス――めんどくさいしクリュでいいか。
クリュがやったのでないのなら、では誰が―――
『あれをやったのはペト君だよ?』
―――いや、ペトって誰だよ。
『重力の化身のペトルス。キミが触れた柱の意思だよ』
え、あれ知的生命体なのかよ。恩神じゃねえか。・・・お礼しなきゃな。
『その恩神、キミを喰い殺そうとしてるけどネ』
――――感謝、終了―――ッ!
「何でだよ!?」
『まぁ、自分が喰い殺されそうになったら、そうなるよねぇ...』
いや、意味分からんし。
『キミの[スキル:我が道を行く]は
数多のスキル群のなかでも最強、あるいは災厄と謳い畏怖されてきた覇王カテゴリー。
・・・しかも、ボクの推測が正しければ、このスキルは道系統だからね』
色々言いたいことはあるけど、とりあえず。
――――覇王と書いてエンドとかって、厨二病拗らせすぎワロタ。
『いや、ボクが考えたわけじゃないからぁ!?
っとと、そうじゃない。説明説明。
覇王カテゴリーのスキルがエンドカテゴリーっていうのは、
―――それまでの既存のカテゴリーに分類できない性質が確認されているから。
そして、覇王カテゴリーが最も新しく構築されたカテゴリーだからさ』
・・・言いたいことは、分かった。
しかし、それは、俺がペトルスとやらを喰い殺そうとした説明にはなっていない。
「そこらへん、その性質とやらに理由があるんだろ?はよ話せ」
『扱いがぞんざいすぎる・・・。まぁいいけど。
覇王カテゴリーの性質。
それは、常に、世界を、そこにある意思を、呑み込む、というもの。
自らの宇宙観・世界観に取り込むチカラ。
自分のなかに、揺るがぬ、確固たるそれを持っている者だけが
手に入れることを許された、覇者の証。
覇道を歩むものの道標。故に、ボクとこのスキルが確約しよう。
――――――キミは、覇王だ。』
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