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生きる道を統べる王《凍結》  作者: モダンジャズ昆布茶
一章:レガリア王国編 第一部
19/33

合流、収束。そして、けじめ

クリュがヒロインになってます!


   

          シリアスが、続きそうorz...





 その後、クリュトゥスがギルドの調査団を連れてくるまでに、啓は13体ものAA級魔物と遭遇し、これを撃破した。今の啓にとっては、最初のトライホーン以外は皆、歯応えどころか、文字通りに手応えすらなかった。・・・いや、一撃で滅ぼし、呑み込んだだけで、戦闘の経験値は十分に獲得はできたわけだが。単純に、啓の攻撃力が過剰に過ぎて、AA級の魔物の肉体であっても堪え、耐えることができなかっただけだ。戦闘経験の無かった啓は、それでも生物の急所くらいはわかる。・・・まぁ、つまりはそういうことだ。彼の討伐した魔物に、両の目が残っていたものは、いなかった。



・・・もっとも、最終的には啓に呑まれたのだから、

     肉体自体、残ったものはいなかったわけだが。



 クリュトゥスらが到着した後は、それは忙しかった。調査団に在籍している錬金術師たちが、個別に、同じ質問を何度も何度も問いただしてくるのだ。挙句調査団の団長らしき輩までおもしろげに啓の方を見遣る。終いには啓がキレて、彼らに一喝。国の誇る一流達が揃いも揃って僅か17歳の少年に土下座した。少々面白い光景が見られた。そのまま、プレゼン形式で啓が説明する羽目になった。勿論、終わると同時に全力で逃げ出した。


 ・・・・・

 ・・・ 

 ・


 時は変わり、場所は移り、二人は食事処へ。幸い、今回の件が依頼外の緊急事態だったために、その報酬として多額の金銭を得た。そのため、宿屋にも部屋をとることができた。これでとりあえず、生きていく分には問題ないだろう。



 ・・・いや、両者共に食事・睡眠無しでも生きていけるわけではあるが。


 まぁ、そこは気分の問題である。こう、『仕事帰りの、この一杯のために生きてる!』的な。

 

 

 「いやー、大変だったねぇー。御っ主人!」


 「おうコラ、楽しそうじゃねえか。他人の不幸でメシが美味い、ってか?」


 「違うよ、御主人の不幸だからご飯が進むのさ!」


  ツンデレだろうか。


 「まぁ、何はともあれ、問題は解決したわけだし、パァッと飲み食いしようヨ!」


 もうしている。というか、誘ったのはオマエだろうが。


 「良かったのか?半分お前の金でもあるんだぞ?」


 「半分御主人のだからだよ」


 いや、まぁ、それはそうなのだが。実際にギルドに人を呼びに行ったのはクリュなのだから、本来、彼女が受け取るべき金銭なのだ。御主人、とこそ呼ばせているものの、それはあくまでも趣味であって、別に彼女の手柄を掠め取りたいがためにそうしているわけではない。彼女がそのつもりなら、こちらも名残惜しいが、・・・本当に、名残惜しいが、御主人呼びは撤回せざるを得ない。


 「何言ってるのさ、AA級13体と戦っといて・・・。

  むしろこっちが釣り合わないくらいなんだからねぇ!?」


 「・・・いや、それは本来、する必要の無いことだった。

  趣味と実益を兼ねた狩り、っていうのが近いだろうな」


 『俺の経験値!!』とか思ってたしな。魔物を魔物とも思わぬ外道とも取れる考えだ。ここはRPG(ロープレイングゲーム)では無い。()()()()()()()()()()のだ。ここは、俺にとっての新しい現実。だからこそ、そう思えるからこそ、生きとし生けるもの全てに理念があり、思考があり、本能があり、衝動がある、一個の存在であると、そう認識しなければならなかった。





 ・・・・・これは、俺の汚点だ。何事も、軽挙妄動であってはいけない。そう、思っていたにも関わらず、自らがその禁を破ってしまった。だからこそ、その汚点と思う行動に、その報酬は釣り合っていない。悪を為して称賛されるなど、俺の最も嫌うことの一つだというのに。


 だからこそ、受け取れない。


 「あぁ、そう。じゃ、ボクの貸しね」


 「それで頼む。・・・が、何か不機嫌そうだな」


 「・・・もっと、自分を評価してあげなよ。自分にくらい、甘くたっていいじゃないか」


  彼女は少し、怒っているようだった。


 「違う。俺は俺には甘いよ」


 だからこそ、自分の定めたルールには、秩序には、従わなければならないのだ。俺が悪徳だと思う行為は、してはいけない。それを破ってしまえば、なけなしの誇りさえ、失いかねないから。自分がそれを侵さないからこそ、他人に『これが正義だ』、と言えるのだから。だから俺は、良い意味で、頑固で在ろう、と。そう、思うのだ。



 「だからこれは、俺の、俺なりのけじめだ」 



 


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