異世界転移
初めまして!モダンジャズ昆布茶です。
『起きて。』
嫌だ。
『起きて。』
断る。
『起きて。』
起こすな。
『───起きろッ!!』
「───八ッ、何だ!誰だ!─────って、朝だぁ!?」
現在は8:00。この男、現在寝過ごしていた。走らねば8:30の朝礼に間に合わないことは確信的に明らかである時間だ。しかし、彼に学校に遅刻するのを全く考慮する様子はない。
ただ、自分の朝食の用意を心配するのみである。
そんな自分を省みることなく、用意されている朝食を──────
「────って、朝食が、無い・・・。」
──────無かった・・・。
朝食が、無い。それどころか、冷蔵庫がもぬけの殻である。米もなく、パンもない。あるのは、この冬の時期に一般家庭である我が家には不自然な程の氷、氷、氷。透明度の高い、透き通るような氷が、10キロにも相当する量、冷凍庫にぎっしりと詰まっている。
(なんでやねん・・・)
────仕方がないので、倉庫にあったかき氷機でかき氷にして食べる。
シャリシャリシャリ。無人の部屋で、無言でかき氷を食べる。
(虚しい・・・)
当たり前である。独りで氷削って独りでかき氷を浴びるほど喰らったところで、ただの理解不能な変人である。
しかも、10キロ全てをかき氷にしたせいですでに正午を過ぎている。この男、マイペース過ぎる。
(そろそろ学校に行くか・・・。いや、腕攣りそうだし休もうかなぁ。
・・・うん、そうしよう決行だ、今日はホリデーだッ!!)
そして、自由人である。
キィィィィィン
(頭痛いぃ・・・。耳鳴りがぁぁぁぁぁ!?)
さらに言えば、アホである。
─────だからこそ、最後まで気が付くことはなかった。
[この氷全てが神格そのものである]ことに。
故に、紫乃宮啓がその神格が本来いるはずの世界、プラセオンに招かれたのも、
必然であったのだろう。たとえそれが、本人の意思を無視したことであろうとも。
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