何言ってんだ、俺。
「なあ」
なんだ、隠したがり。
「なんで夏ってこんなに暑いんだろうね?」
そりゃ夏だからだろ。
「冬は寒いのにね」
そりゃ冬だからな。太陽の当たり方で暑いか寒いかも決まるらしいぞ。
「そんなの知ってるよ」
知ってんなら聞くな。
「ところでさ」
なんだ?
「もし夏が寒かったら、どうする?」
その答えを聞きたかったら、南半球に行ってこい。季節が真夏だからな。
「やだよ。英語話せないし」
じゃあ勉強しろ。俺が勉強してるのに、お前は勉強しなくていいとか、そういう決まりはねぇからな。
「やだよ。勉強は嫌いだし」
面倒臭がりみたいな事言うな。
「いいじゃん、減るもんじゃなし」
知識が減るぞ。
「勉強しなくても生きていけるよ」
社会じゃ通用しねぇけどな。
「大丈夫だ、問題ない」
それは問題がある台詞だ。
「『台詞』って何て読むんだ?『だいし』?」
『セリフ』だよ!
「知ってる。わざと言ってみた」
おい隠したがり。お前わざと俺を怒らせようとしてねぇか?
「ないない」
嘘だ!
「マジでマジで」
じゃあ勉強しろ。
「何が『じゃあ』なのかわからないんだけど、嫌だね」
よし分かった。お前には一生身体の主導権なんて返してやらん。
「え、ちょ、それは」
これは決定事項だ。はっはっはー、これでお前は一生外に出ることもできねぇ……そして、お前は『騙したがり』から無名になる。残念だったな!
「勉強するから!それだけはやめて!」
嘘だ。言質とったからな。
「あ……やっぱり今の無しで」
だめだ。これは決定事項だ。
「それも嘘だよね?」
マジだが、それがどうした?
「えーっと……そんなことより」
話題を変えるな。そして逃げるな。
「そんなことより」
聞いてるか?
「そんなことより!」
おいこら
「そーんーなーこーとーよーりー!!」
お、おう。
「もし日本で、クリスマスが夏だったら、サンタはどうなると思う?」
サーフボードに乗ってくるんだろ?
「トナカイが?」
それは見てみてぇな。
「確かに……じゃなくて、サンタだよ!今じゃネットで調べれば、画像がたくさん出てくるだろ!?」
なるほど、ツッコミが不在の時は、ボケがツッコミになることがあるのか。
「ねえ、聞いてる?」
まあツッコミ役じゃねぇから、的確にツッコミなんてできねぇんだけどな。
「おーい」
画像なんて調べる暇無ぇんだよ。誰かさんと違って。
「じゃあなんで俺が知ってるのさ」
……なんでだろうな?
「……なんでだろうね」
しかし、いつ調べたんだ?
「30年前」
生まれてねぇな。
「じゃあ40年前」
だから、生まれてねぇよな。
「3.141592……」
円周率!しかも懐かしい!!
「……から後が思い出せない」
思い出さなくても調べなくてもいいぞ。
「3000年後」
生きてねぇよな。
「いつだったかわからん」
それは覚えてねぇっつぅんだよ!
「だがそれがいい」
何がだよ!
「どうよ、俺のボケラッシュ」
ボケ役にツッコミ役をさせるんじゃねぇよ!100m走より疲れるわ!
「よし、満足」
何が!?
「え、退屈だという気持ちを隠してましたが、何か?」
開き直るな。やっぱり隠してたんじゃねぇか!
「では失礼します〜」
あ!逃げやがった!!
ったく……とりあえず、元通りにだけはなったか……?