何の用だ、俺。
「熱い……」
いきなりなんだ。あと字が違う。
「うっせーな。暑いもんは暑いんだよ」
暑い暑いってうるせぇな。いいか?暑いって一回言うごとに、どんどん暑くなっていくんだ。
「……俺様が?」
……もういい、黙ってくれ。こっちはアイツが落ち込んでるから、そのせいでイライラしてんだ。
「そのイライラを俺様に分けてくれれば、少しは楽になるんじゃないか?」
それで変な行動しなければ、はいどうぞと分けてやるんだが……何を企んでる?
「いや別に、最近外に出てないから、何かきっかけが欲しいとか、全く思ってないぜ。ということで、分けてくれ」
だが断る。お前の行動で周りに迷惑がかかったら、俺らに迷惑がかかることも分かってんだろう?
「ああ、まあ、分かっちゃいるが……」
分かってんだったら、もうそれでいいだろ。このイライラをお前に分けてやることもしないし、これからも分ける予定もない。
「貴様はそれでいいのか?」
いいんだ、これは俺と分裂体の問題だから。
「同じ存在のくせして何言ってやがる」
黙れ壊したがり。
「ほっとけ騙したがりども」
俺は騙したがりだが、分裂体は『隠したがり』だ。一緒にすんな。尊重してやれよ。
「悪いが、尊重するなら、ソイツが立ち直ったらだ。そうするまでは、尊重なんかしてやらん」
チッ。
「貴様の分裂体だからって、なんでも尊重するわけねーだろ。まったく、少しは奴を見習ってほしいもんだ」
それについては同感だな。アイツは分裂体と違って、隠れながらも、俺たちを頼りながらも……そして他人を頼りながらも立ち直った……ん?完璧ってよりはまだ早いが、分裂体よりは立ち直っているからな。
「あー、確かに。奴は俺様たちのような奴じゃねーからな」
もうちょっと見習ってほしいもんだが……
「まだかかるようだな」
ああ。残念なことにな。もう一週間だぜ?
「心の弱さで言ったら、奴の次に貴様の分裂体が弱いな」
で、その次が俺、と?
「おっと、そんなことは思ってなかったが、なんだ?心当たりでもあるのか?」
ニヤニヤするな。顔を近づけるな。
「おいおい、同じ自分としてその扱いはひでーだろ」
いや、逆にお前が俺の立場だったら、どんな扱いをしてたんだよ。
「笑顔で殴る」
即答だな。流石は壊したがり。
「黙れ騙したがり」
もう帰れ。暑苦しい。
「暑苦しいのは貴様の方だろうが」
あ、やる気か?
「俺様に勝つ気でいるのか貴様は?」
あ、いや、なんでもないです。
「冗談だ」
顔が冗談じゃなかったが?
「悪いが、俺様は帰るからな」
さっさと帰れ。
「なあ、ちょっと怒った時に何か物が飛んでくだけで、そこまでひでー扱いされるか?」
お?何か俺の知らん情報があったんだが?
「よし、帰ろう。じゃあな」
あ、逃げやがったアイツ……。
まあいい。またそのうち来るだろ。
つぅか、暑い……。