01.恋時計
はじめまして。
恋那です。
よろしくお願いします。
「俺の事、忘れんなよ?」
「分かってるしっ!忘れらんないでしょ。」
「相変わらずだな。可愛くねぇ。
この不細工がっ」
「不細工で悪かったわねっ。アンタが惚れた女でしょうがっ」
「はいはい、惚れましたぁ~」
「笑うなぁ~!!!馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿ぁ。これでお別れなのにッ
この、ド阿保ぉ」
「別れじゃねぇよ。
俺が迎えにくんだよ」
そう言うアイツの瞳は真剣。
「私の事、忘れんじゃないよっ!」
「クソババァみてぇ」
「あ”あ”?」
「分ーってるよ。わすれねぇ。」
真剣なアイツな顔に胸がうごめく私。
「「ばいばい。また逢う日まで」」
* * *
成宮海。
アイツと別れてから2年が経過した。
アイツと私はいつも、喧嘩してた。
でも、お互いに好きあってた。
ある日、アイツが転校することになった。
好きだったけど、仕方ないんだ。
遠距離恋愛なんて、所詮ムリだし。
どちらかが浮気するなんて、考えたくもないし。
だから私たちは別れた。
“また逢おう”
そんな約束をして。
約束なんて、叶うはず無いじゃん?
その証拠に、この2年間。
アイツからは一度も連絡が無い。
何度も電話した。
でも、いつも同じ・・・。
“只今出る事が出来ません。メッセージをどうぞ”
いつの日か、私の中でアイツの存在はどんどん遠いものとなっていった。
別に抵抗なんてない。
ただ、少し寂しいだけ。
でもこの寂しさも、すぐに消える筈。
もうアイツと逢う事なんて、無いんだから。
「ねぇ真希?聞いてる?」
「あっ聞いてなかった。何だっけ。」
「だぁかぁらぁっ今日転校生来んのっ」
「は?転校生?」
山城真希。
それが私の名前。
2年間伸ばし続けた長い髪の毛を思い切ってショートにした。
そんな私を好きでいてくれる、とぉーっても格好良い、彼氏もいる。
アイツなんかより・・・ずっとずっと格好良い。
幸田愁。
私の彼氏の名前。
私の事を、愛してくれてる。
アイツが居なくなった2年間。
私が正気でいられたのは。
彼のおかげ。
本当に感謝してる。
そして私が今、話をしているこの女の子は。
池田萌。
彼氏いない歴=年齢
の彼女はイケメン好き。
こんな平凡だけど、幸せな毎日をおくっていたのに。
この時から。
私の運命の針は狂いはじめてた。