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むかしおばかばなし  作者: 花街ナズナ
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うらしまたろう (1)

昔々、あるところに浦島太郎という若者がおりました。


浦島は今夜も暗がりの中、せっせとアワビの密漁に精を出していましたが、ふと浜辺のほうから大きな音がするので海面へ顔を出して何事か確認してみると、どうやら新参の低レベルパーティが誤って高レベル帯のマップに侵入してしまい、玄武(中国の神話で北の方位と冬の季節を司る霊獣。聖属性無効・水属性吸収・物理攻撃反射)にエンカウントしてしまったらしく、4、5人ほどのパーティが面白いようにボコられていました。


「おやおや、かわいそうに……」


浦島はそう小さくつぶやきましたが、助ける気などは毛頭ありません。


というより、こんなエリアボスクラスの相手など自分でも真正面からでは困難だと承知していましたし、何より冒険は自己責任。


密漁をしている自分もいつ警察の御厄介になるか分からないのに、人様の心配までしている余裕は無かったのです。


そうしたわけで、浦島は(まあ、冒険に出た時点で死ぬ覚悟くらいはそれぞれしていたろうし、これも巡り合わせの不運だったと諦めてもらおう……)と考えて自身の心を整理するや、アワビで満杯になった網を肩に担ぎ、低い岩場を登って早々に止めておいた原付でトンズラを決めようとしたその矢先のこと。


距離があると思って油断していた戦闘で、玄武が放った『荒ぶる渦潮(水属性全体攻撃。物理ダメージ大+低確率で即死効果)』の余波をもろに喰らい、陸へ上がりきるより前に衝撃波で上空高く弾き飛ばされ、短い等速直線運動からの自由落下運動へ移行し、ダイナミックな放物線を描いて海面にぶつかると瞬時、暗く深い海の奥底へと沈み込んでいったのでした。


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