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むかしおばかばなし  作者: 花街ナズナ
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にんぎょひめ

昔々、地上を支配していた古き神々の従者であるダゴンたちは、インスマスと呼ばれる寂れた港町で、秘密裏にダゴン教団によって崇拝されていました。


ダゴンたちは土地の人間との間に混血児をもうけたり、基本的に寿命が無いので無駄に長生きしまくったり、しかも混血児でも長い時が経てばその子もまたダゴンになるせいで、「あれ? これってエントロピーの法則を無視して無限に増え続けちゃうんじゃね?」というフィクションには不必要な心配をさせつつ(誰に?)、今日ものんべんだらりと繁殖行為や、狂気に満ちたり冒涜的だったり名状し難かったりする信仰をされたりしながら過ごしていました。


そんなある日、港の近くでさる国の王子が乗る船が嵐で転覆するのを見たあるダゴンは、興味本位で沈んだ船の辺りまで泳いでいってみたのです。


するとどうでしょう。


その王子というのが、それはそれは見事なまでのインスマス面だったため(右目と左目の仲がすこぶる悪いとも言う)、ダゴン基準でもかなりのいい男ということで、このダゴンは迷わず、


「よし、一丁この人間の子供でも孕んでみるか!」


と、ノリノリで生殖行為に突入したのでした。


ですが世の中、不思議な縁というものがあるもので、乗っていた船が転覆しただけでも不運なところに足して、まさか見たことも無い怪物に逆レイプまでされるとは思いもよらなかったせいか(まあ思っていたとしても、心の準備ができていたとしても、結果は変わらなかったでしょうが)、王子のSAN値は激減。発狂するに至ってしまいます。


そこでただ、発狂するだけならばまだ分かるものの、その発狂具合がちょうどよい按配だったらしく、何をどうしたものやらその王子は自分を逆レイプしたダゴンを娶るという、いくら狂ってるにしてもそこまで斜め上に突き抜けた決断ってそうそうできないよなあと誰もが思うだろう決断を王子はわずか0.05秒で完了してしまったのでした。


この、どこかの宇宙刑事にも負けず劣らずの可及的速やかすぎる王子の行動により、ダゴンは何故だか知らないうちに某国の女王の地位へと納まることになったのです。


そして、それからしばらく後。

盛大な結婚式から数えること数か月。


女王となったダゴンは元気なタマゴを生み、そのタマゴからさらに元気な女の子が生まれました。


すくすくを通り越した以上速度で成長していったその女の子は、父である王と、母である女王の血を、何も律儀に受け継がなくてもいいのに受け継ぎ、どこに出しても恥ずかしくない大変立派な魚介系女子として成長を果たし、いつしか国民からは親しみを込めて『人魚姫』の愛称で呼ばれるようになりましたとさ。


めでたしめでたし。


【余談】


「二次創作なら、やっぱりクトゥルフは外せないよね」ということで、とりあえず形式上までに。


我ながらほんとひどいですけど(「それはどの作品も共通してるだろ」と言われたら、返す言葉に詰まりますが)、お約束って大事ですしね。

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