story.8
(……こいつ、まだいたのか)
セフィを無視してクロスは殺気を受け動けない襲撃者に問いかける。
「一応、聞いておく。何のようだ?」
「こ、答える義理は無い」
襲撃者は声を震わせながらもクロスの質問をはねのける。
「……そうか」
襲撃者の言葉にクロスは頷くと、
「……よくその程度で俺に向かってきたな」
先程の比ではない殺気を放ち襲撃者との距離を縮めて行く。
その空気は重々しく、
殺気を受ける側は首もとにナイフを突き立てられるように
徐々に心臓が握りつぶされていくように
自分の命が他者に完全に握られているような感覚。
……精神が弱い者では直ぐに発狂するくらいの殺気。
「……雑魚だと話にならないな」
襲撃者はクロスの殺気に当てられ話す事すらできなくなっているようで、クロスはそう言うと、
「そこで隠れてる奴、出てこいよ。こっちの質問に素直に答えるなら、命くらいは助けてやるよ」
気配を消していたもう1人に向かい言う。
「クロスさん、流石ですね♪」
クロスの殺気など関係ないといった感じで、1人の男が近づいてくる。
「……何のようだ?」
クロスはその男を睨みつけて、ここにきた理由を聞くと、
「降参ですから、その殺気をしまって貰えますか?」
男は笑いながらそう答え、
「それに早くしないと貴方のつれが壊れてしまいますよ」
セフィをクロスの仲間だと思っているのか、クロスに向かい言う。
「……」
その言葉にクロスは男への警戒を解くことなく、セフィの顔を見ると彼女の顔色は青白く恐怖に歪んでいる。
「……別に、つれでも無いがな」
クロスは殺気をしまうと、セフィは殺気から解放された安堵感からか地面に座り込み、
「それで、人の実力を試してどうするつもりだ?」
クロスはセフィの様子など気にするようすも見せずに男に聞く。