story.81
「そうか?」
エリトラはエリスの表情に苦笑いを浮かべていると、
「本人は誉められるのが苦手ですから、からかわないであげてくださいね」
エリスはエリトラを見てそう言い、
「クー」
いつの間にかフィルがエリスの隣に移動しており、エリスの言葉に同意しているのかうんうんと頷いている。
「フィル? お前、あっちは良いのか?」
フィルの登場にエリトラは驚いたようにフィルに聞き、
「クー」
フィルはもう大丈夫だと言いたげにクロスとセフィを指差し、フィルの指差した先には、
「……」
クロスはわざと自分のスピードを抑えながらヴァイパーの攻撃がセフィに向かないように引き寄せ、
「えい!!」
クロスへの攻撃で隙が出来たところでヴァイパーに斬りかかっているセフィの姿があるが、セフィの剣ではヴァイパーの身体に傷をつける事は出来ないでいる。
「噂通り、クロスは別格だな」
エリトラは攻撃があたらないギリギリの距離を見極めているクロスの様子に感心したように頷いていると、
「くしゃあああ!!」
ヴァイパーは攻撃のあたらないクロスより、自分の身体を斬り裂けなくてもちまちまと攻撃しているセフィを鬱陶しく思ったようで、攻撃対象をセフィに変えるが、
「……」
クロスはその時を狙っていたようで、クロスは一振りでヴァイパーの頭を斬り落とす。