story.78
「エリトラ、言うだけ無駄だ」
頭を押さえているエリトラの姿を見て、クロスは以前にこのやりとりを見た事があるのかエリトラを制止するが、
「……しかしな」
エリトラは納得がいかないためか首を傾げると、
「エリスは天然だ。それで納得しろ」
クロスは表情を変えずに言う。
「いや、そんなんで納得できるわけがないだろ」
エリトラはため息を吐き、
「クロスくん、わたしは天然さんじゃないですよ」
エリスはクロスの言葉に頬を膨らませて反論するが、
「……良いから納得しろ。遊んでて死にたいなら別だがな」
クロスはエリスの反論などは歯牙にもかけずに何かの気配を感じたようでそう言い剣を抜くと、
「グー」
フィルはすでに戦闘態勢になっているようで1点を睨みつけて唸り声を上げ出す。
「モンスターですか!?」
セフィはクロスやフィルが察知している気配すら感じれてないようで2人の様子に慌てながら剣を抜き、
「やれやれ。遺跡に着く前に戦闘か? まぁ、お手並みを拝見させて貰うかな」
エリトラは落ち着いた口調で、クロスとエリスを見てくすりと笑うが、
「……」
クロスはエリトラの言葉に返事をする事はなく、
「それじゃあ、わたしは支援に回りますから、前列はお願いしますね」
エリスはニコニコと笑いながらそう言い、クロスとセフィの後ろに移動し、
「は、はい」
セフィはすでに地に足がついていないのか声を裏返しながら返事をする。