story.77
「……なぁ、エリス」
遺跡に向かう途中で何かを思ったのかエリトラがエリスの名前を呼ぶと、
「どうかしましたか? エリトラさん」
エリスはエリトラに呼ばれた理由がわからずに首を傾げながら振り向く。
「お前の冒険者クラスは鍛冶師と精霊使いなんだよな?」
エリトラはエリスの冒険者クラスに何か疑問を感じているようでエリスに確認すると、
「そうですけど、どうかしましたか?」
エリスはエリトラが何を疑問に持っているのかすらわからないようで首を傾げている。
「……なぁ、クロス。俺の勘違いなのかも知れないが、一般的に鉱石を用いて金属製の武具を作る鍛冶師に精霊は心を開かないはずだよな?」
エリトラは彼の持っている常識からはエリスの冒険者クラスの組み合わせはおかしいと感じているようで、1番、話が通じそうなクロスに確認をすると、
「……あぁ」
クロスはエリトラの疑問にはあまり興味がないようでただ短く頷き、
「そうなんですか? エリスさん、どうしてですか?」
セフィは今初めてエリスの冒険者クラスの特殊さに興味を持ったようでエリスに質問をする。
「そんなにおかしいですか?」
エリスは首を傾げるが、
「……あぁ。精霊使いは精霊の声が聞こえなくなるから、金属製の武具を装備する事を避ける」
エリトラは何も知らずに冒険者をしているセフィと常識から外れた発言をしているエリスを見てため息を吐くと、
「別におかしくないですよ。鉄などと言った鉱石は元々、土の精霊さんの力を借りて生まれたものですし、鍛冶師はその鉱石を火の精霊さんと水の精霊さんの力を借りて新しい力にするための職業なんですから」
エリスは彼女なりの鍛冶師についての考えを言うが、
「……それが通ればどの冒険者も精霊使いだろ」
エリトラは納得がいかないようで自分の頭を押さえる。