story.76
「依頼としては見つかった遺跡から聞こえる唸り声の正体を調べて欲しい。状況によっては唸り声の原因を排除してくれ」
デュオが依頼内容を簡単に説明すると、
「原因の排除?」
セフィは何かあるのかデュオの言葉を聞き返す。
「何か問題があるか?」
デュオがセフィに向かい言うと、
「い、いえ」
セフィは慌てながら首を振り、
「続けてくれるか。こいつには話すだけ無駄だからな」
クロスはセフィを気にしないで続けろと言い、
「あぁ。遺跡は扉が封鎖されているせいか。入る事はできないんだが……」
デュオはクロスの言葉に納得したのか話を続けると、
「封鎖? 遺跡の中から聞こえるんじゃないのか?」
エリトラはすぐに疑問を口にするが、
「あぁ。唸り声は遺跡の手前から聞こえている上に遺跡は何かの力で封鎖されている。このまま採掘を続けていて何かあったらと考えると組合としてはそれを防がないといけない」
デュオは今までの調査で遺跡の中からではないとわかっているようでそう言い切る。
「って事は、近くに何かの巣があるって事も考えられるわけだな」
「後は単純に風の通り道だろうが……」
クロスとエリトラがエリスを見ると、
「さすがに風の通り道は判断できますよ」
エリスは後者は有り得ないと言い切り、
「まぁ、行ってみないとわからない事もあるだろうし、現場に行くか」
「そうだな」
クロスとエリトラは現場を見たいと言う。
「えっ!? もう行くんですか?」
セフィは探索依頼を受けるのは初めてなようでようで少し不安そうな表情をするが、
「……大丈夫だ。お前には何も期待していない」
クロスはセフィには何も期待していないと言い切ると、
「だな」
「クー」
エリトラは苦笑いを浮かべながら頷き、フィルも同様にセフィのいつもの行動を思い出しているのか頷く。
「そんな事ないです!?」
セフィは頬を膨らませながら言うと、
「まぁまぁ、みなさん仲良くしましょうよ」
エリスがセフィに向かい言い、
「それでは出発です♪」
右手をあげ、
「クー♪」
フィルはエリスの真似をするように右手をあげるが、
「……なんか、このメンバーに任せるのが心配になってきた」
デュオはため息を吐き、
「その意見には賛成だ」
パーティーのメンバーであるクロスはデュオの言葉に同意する。