story.69
「……クロスさん、おはようございます」
朝になりセフィは起きると昨日の事もあるのか少し気まずそうにクロスに向かい挨拶をすると、
「……あぁ」
クロスはまだ機嫌が悪いようでセフィを1度、見た後、短く返事をし直ぐに視線を逸らす。
(……やっぱり、怒ってますよね)
セフィはクロスの反応にバツが悪そうな表情をするが、
「昨日はすいませんでした」
自分が悪い事をしたと言う自覚はあるようで、クロスに向かい頭を下げる。
「……」
クロスはセフィの行動を見て、鬱陶しそうな表情をすると、
「……早く準備をしろ。おいて行くぞ」
セフィに向かいそう言うが、その表情からはクロスの機嫌が直っているのかは読み取る事ができない。
「……はい」
セフィはクロスの様子に今は何を言っても話しをしてくれないと思ったのか小さく頷くと、
「顔を洗ってきます」
うつむきながら洗面所へ向かう。
「……ちっ」
クロスはセフィを見て、昨日の苛立ちが再燃してきたのか舌打ちをすると、
「クー……」
クロスの様子を見て、フィルが心配そうな表情でクロスの顔を覗き込む。
「心配するな」
クロスはフィルの様子に少し怒りが納まったようで苦笑いを浮かべ、フィルの頭を優しく撫でると、
「クー♪」
フィルはクロスに飛びつくように抱きつき、
「……くっつくな」
クロスはフィルの行動に疲れたように言う。




