story.67
「何で、クロスさんがこんなものを?」
セフィはクロスがなぜ、こんな邪悪なものを持っているのかがわかるわけもなく、そうつぶやくと、
「クロスさん、どう言う事ですか!!」
寝室のドアを勢いよく開けるなり、眠っているクロスにつかみかかる。
「……うるせぇ。静かにしろ。バカ女」
クロスはセフィの声に目を覚ますと機嫌が悪そうにそう言うが、
「クロスさん、これは何ですか? 私にわかるように説明してください。クロスさんが邪教を信仰してるなんて……」
セフィはクロスの言葉を聞き入れる事なく、クロスが邪教徒なのか確認したいようで騒ぎたてる。
「……黙れ」
クロスはセフィがうるさいせいか不機嫌そうに言うが、
「クロスさん、良いですか。 こんな邪悪なものを信仰していては行けません!! こんな人を堕落させ……いふぁい、いふぁいれす」
セフィが止まらないため、クロスはセフィの頬をつねる。
「……黙れと言ってるだろ」
クロスは起こされた事に機嫌が悪いのでそう言うと、
「それは父親の形見だ。それ以上でもそれ以下でもない」
不機嫌な口調で言う。
「お父様の形見?」
セフィはクロスの言葉に何かを思ったのか黙り込むと、
「……神なんてただの偶像だ。俺はそれを身を持って体験した。だから、神聖な神も邪悪な神も信じる気はない」
クロスはセフィを睨みつけながら言い、
「これ以上、騒ぐなら追い出すぞ」
セフィはこれ以上は話す事はない言う意味を込めて言い、
「……わかりました。これ」
セフィは納得はいかなさそうに頷くとクロスに聖印を渡し、寝室に戻って行く。




