story.62
蒼き剣亭
「悪いね。セフィちゃん」
「……いえ、予約し忘れた私が悪いんですぅ」
セフィは蒼き剣亭に宿を取ろうとして戻ったが、セフィが教会で無駄話をしている間に宿はすでに満室になってしまっていたようで、セフィは部屋を取れなかったようである。
「他の宿を紹介してあげたいところなんだけど、今の時期はどこもお客さんが多いからね……」
ジルはセフィとクロスのやりとりを見ていたせいか、セフィをそのまま放置する事が出来ないと思っているようで困ったように笑いながら言うと、
「大丈夫です。どうにかしますから」
セフィはジルに心配をかけないように笑顔を見せて言い、
「失礼します」
ジルに頭を下げ、店を出て行こうとした時、
「カラーン」
店のドアが開き、
「クー♪」
フィルがセフィを見つけるなり、勢いよくセフィに抱きつく。
「フィルちゃん!?」
セフィはフィルの登場に驚きの声をあげると、
「ジル、席はあるか?」
フィルからしばらく遅れてクロスが店に入ってくる。
「クロス、あんた良いところに着たね♪」
ジルはクロスの姿を見て苦笑いを浮かべると、
「……何だ?」
クロスはジルの表情に意味がわからずに首を傾げる。
「あんた、ホントに良いところな着たよ」
ジルはもう1度、クロスに向かい言うと、
「今晩は、フィルをこいつに預ける約束だったからな」
クロスはフィルをセフィに預けにきたようでそう言い席に座るが、
「それなんですけど……」
セフィは申し訳なさそうにうつむき、
「……今度はこのバカ女は何をしたんだ?」
クロスはこの状況に嫌な予感がしたようで頭を押さえながらジルに向かい言うと、
「簡単に言うと、セフィをあんたの部屋な泊めなさい」
ジルはクロスの部屋にセフィを泊めてやれと言う。