story.58
「フィルちゃん!?」
セフィはフィルに向けられた刃から目を逸らしてしまうと、
「あんた、こんなところで剣を抜く何を考えているんだ?」
「……なぜ、止める?」
フィルとクラウドの間に割って入った人間がいるようで、クラウドがその男を睨みつけながら言う。
「……人の連れに剣を向けるな」
男はクラウドに向け、冷たい口調で返し、
「フィル、いつも言ってるだろ。バカには構うな」
フィルの名前を呼び、クラウドなど相手をするなと言い、
「クー」
フィルはその言葉に戦闘体制を解き、頷く。
「……クロスさん?」
男の声を聞いて、セフィが逸らしていた目をフィルに向けると、そこにはクラウドの手をしっかりとつかみ、クラウドの剣を止めているクロスが立っている。
「……どうして、お前は無駄に厄介ごとに巻き込まれるんだ?」
クロスはため息を吐きながらセフィに言う。
「えーと? ……すいません」
セフィは申し訳なさそうにクロスに謝ると、
「……それで、どうして、あんたはフィルに剣を向けているんだ?」
クロスはクラウドを睨みつける。
「モンスターを排除して何が悪い。それをかばうならあなたも邪悪と判断させていただきます」
クラウドはクロスを睨み返すが、
「……これだから、バカは嫌いなんだ」
クロスはクラウドの様子にため息を吐きながらそう言うと、
「!?」
一瞬で剣を抜き、体勢を入れ替え、剣の切っ先はクラウドの喉元に向けられる。