story.52
「……じゃあな」
クロスは武器屋を出ると1人で歩き出そうとすると、
「ちょっと待ってください!?」
セフィは慌ててクロスの腕をつかみ、クロスを引き止める。
「……なんだ?」
クロスはセフィの行動にこれ以上は面倒な事に巻き込まれたくないと言った表情でセフィを見ると、
「あの……」
セフィは何か言いたげな表情でクロスの顔を覗き込む。
「……フィルがいるし、店までは戻れるだろ」
クロスはセフィが蒼き剣亭まで1人では戻れないと思っているようでそう言うが、
「ち、違いますよ。私は方向音痴じゃありません」
セフィは宿には戻れると頬を膨らませながら言うと、
「あの、もう一カ所連れて行って貰いたいところがあるんですけど……」
セフィはクロスに案内をしろと言う。
「自分で探せ」
しかし、クロスはセフィの言葉を却下すると、
「離せ」
セフィに向かい言うが、セフィはクロスの腕をしっかりとつかむと、
「良いじゃないですか。私の事を初心者冒険者って言い切ったんですから、先輩の冒険者であるクロスさんは私の面倒をみないといけないはずです。私は下のものには上の人間がしっかりと指導すると教わりました」
セフィはクロスに向かい彼女が信仰している教会の教えなのか上位者は下位者の面倒をみるものだと言うが、
「……俺には関係ない」
クロスはセフィの相手などこれ以上する義理はないと言う感じで言い、
「人は1人だ。誰かの面倒をみることなどただの偽善だ。自分の事は自分でやれ」
1人で歩き出そうとした時、
「……あなたはこの間の」
エルフの少女がセフィに声をかける。