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story.4

「何をするんですか!? 降参したはずです」


クロスの行動に先ほど、男の非礼を詫びにきた少女がクロスを怒鳴りつけるが、


「……黙れ」


クロスはその少女に部外者は出てくるなと言った意味を込めて冷たく言うと、


「……いいか。教えておいてやる」


男の剣を男が倒れているすぐ隣にさし、


「冒険者で食っていこうと思うなら覚えておけ……敗北は死だ。自分だけならそれで良いが、仲間や依頼人の命にも関わる。自分と相手の力量の差すらわからないなら冒険者など辞めろ」


男に向かい先ほどまでは出す事のなかった殺気を言葉に込めて言うと、そこで男は自分とクロスとの実力差を理解したようで恐怖に顔をひきつらせながら頷き、


周りでヤジを飛ばしていた人間達は少年のはずのクロスが出す殺気に気圧されているようで、クロスの言葉に言葉を失い呆然としている。


クロスはその様子をつまらなそうな顔で見た後、店の中に戻り、


「……親父、勝ち分は迷惑料だ」


今の賭けの勝ち金を店主に譲ると、


「おうよ」


店主はクロスの心使いをありがたく受け取る。


「フィル、行くぞ」


クロスは店主の返事を最後まで聞かずに、クロスとともに店に入ってきた小さなドラゴンの名を呼ぶと、フィルと呼ばれたドラゴンは荷物をくわえクロスの元に寄り、


「クー」


クロスに荷物を渡し、クロスはフィルから荷物を受け取るとまだ店の前で呆然としている人間達に目もくれずに夜の暗闇を歩いて行く。


「何なんだ? アイツは」


クロスの背中が見えなくなったあたりで野次馬の1人が声をあげると、


「あの男だってそこそこ強い筈だろ? 酔っていたとはいえあんな簡単に」


クロスが相手をした男もこの町ではなかなかの実力者だったようで野次馬達は男を簡単に倒したクロスの事を話し出し、騒ぎ立てる。


「相手が悪すぎだ……アイツ、クロス=ブラッドだ」


その中の1人がクロスの事を思い出したようでクロスの名を呼ぶと、


「どうしてわかる?」


他の男達もクロスの名を聞いた事はあるようで、クロスの名を出した男につかみかかるように聞く。


「……さっき、竜精が一緒だった」


男はクロスが連れていた小さなドラゴンとクロスにまつわる噂を思い出しているように言うと、


「クロスってハンターの?」


クロスの話をあまり深くしらない男が思い出したように質問をする。


「ハンター?」


その声にクロスを怒鳴りつけた少女はクロスの話を全く知らなかったようで首を傾げながら聞くと、


「嬢ちゃん、知らないのか!?」


周りの男達は驚きの声をあげ、


「ハンターってのは賞金首を捕まえるのを得意とする冒険者だ」


「その中でも……クロスは若手のなかでは最強って噂まである」


「こんな片田舎でかなう奴なんかいねぇよ」


少女へ向かいクロスの話をすると、


「何でこんなとこに居るんですか?」


少女は誰もが思っていた言葉を口にするが、


「さぁな」


その答えを知ってるであろうホックと店主は噂話に入るわけもないため、憶測でするクロスの話題で店の中は騒がしくなっている。


(あの人は間違ってます。降参した相手に剣を向けるなんて……絶対に許せません)


そんな中、クロスの噂を聞くわけでもなく、1人の少女はクロスの行いに怒りを覚えていたようで、クロスが歩いて行った方向に1人で駆け出す。



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