story.45
冒険者の店『蒼き剣亭』
クロスは本当になじみの店に2人を連れてきたようで、店のドアを開けると、
「ん? クロス、フィル、お帰り。里帰りは終わったかい?」
店主らしき年配の女性がクロスの名前を呼ぶ。
「あぁ」
クロスは店主の言葉に無愛想に頷くと、
「後は好きにしろ」
セフィとエリトラに向かいそう言い、自分はカウンター席に座る。
「待ってくださいよぉ」
セフィは慌ててクロスを追いかけてクロスの隣りに座るとエリトラは特に知り合いもいないためかクロスの近くのカウンター席に座る。
「クロス、この2人は?」
店主はセフィとエリトラの事をクロスに聞くと、
「1人は初心者、もう1人は上級者」
クロスは面倒くさそうに言い、その姿に店主は苦笑いを浮かべ、
「あたしはこの店の店主のジルだよ。2人とも初顔だけど、この店には何をしにきたんだい?」
セフィとエリトラに向かい聞く。
「……俺は仕事と仲間を探しにきた」
エリトラは短く答え、
「あの、私は……」
セフィはこの街にきた経緯をジルに話す。
「うーん。とりあえずはうちにはあんたの仲間らしき人間はきてないね」
ジルはセフィから聞いた仲間の容姿に心当たりがないようでそう言うと、
「そうですか」
セフィは残念そうにうなだれる。
「それじゃあ、2人ともまずは仲間探しだね」
ジルはそう言うと、セフィはエリトラに書類を渡し、
「記入したら、掲示板に貼り付けておきな」
そう言うと、
「クロス、パナシェが帰ってきたら顔を出せって言ってたよ」
クロスに向かいパナシェと呼ばれる人間から頼まれていたであろう伝言を伝えるが、
「……」
クロスはその言葉を聞こえないふりを決め込もうとする。
「クロス……」
ジルがクロスの名前を呼びながら呆れたようなため息を吐いたところで、
「クロスさん、パナシェさんって誰ですか?」
セフィはクロスに向かい言うが、
「おまえには関係ないだろ」
クロスは冷たくそう言ったところで、
「確か、剣の旅団のリーダー……なるほど、ここも剣だったな」
エリトラはパナシェの名前に心当たりがあるのかそう言い、
「凄い人なんですか?」
セフィがエリトラに質問した時、
「凄い人なんです♪」
セフィの後ろから男が声をかけてくる。