story.3
「何でこんな所にお子様がいるんだ? ミルクなんて飲んでるなら、家に帰ってママにでも甘えてろよ」
クロスとホックが話を続けているとクロスが飲んでいるミルクを見て、バカにした様子で男が絡んでくる。
「すいません」
男がクロスとホックに絡んでいるのを見て、男と同じパーティーらしき少女が2人に謝り、仲間らしき男2人が男を連れて行こうとすると、
「……気にするな。酔っ払いが人に絡むのは常識だ」
クロスは男の事など歯牙にもかけていないのかどうでも良さそうに答えると、
「誰が酔っ払いだ。お子様が俺に喧嘩売ってんのか!!」
クロスの答えが男には気に触ったらしく仲間の男2人を払いのけ、クロスの胸倉を掴もうとするが、
「……」
クロスはうっとうしそうに軽く払う。
「ガキが調子にのるんじゃねぇ!!」
しかし、男はクロスの行動がよほど頭にきたようで大声をあげると、
その様子に周りが一気に騒ぎ出し賭が始まり出す。
「坊主、外でやれよ」
その様子に店主は苦笑いを浮かべると店の中で騒ぎは止めて欲しいらしくクロスに向かい言うと、
「……わかってる。親父、これ」
クロスは面倒くさそうに立ち上がると親父に金を渡す。
「これだと多いぞ」
店主はクロスから受け取った金を見て、料理の代金以上だと言うと、
「……俺の勝ちに」
「そう言う事な」
クロスは自分の勝利に賭けると店主は納得したようで頷き、
「まぁ、頑張れ」
クロスの勝ちを確信しているようで苦笑いを浮かべて、クロスの背中を見送る。
(……暇なヤツらだ)
クロスが店の外に出るとすでに他の冒険者達は盛り上がっているようで周りでヤジを飛ばしている。
(……やれやれ)
クロスは面倒くさそうに男を見ると、男は準備が出来ているようで、剣を抜き構えている。
「クロス、剣は?」
ホックが男の様子を見て、酒を片手にクロスをからかうように言うと、
「これ相手に必要ないだろ」
クロスは男をバカにするようにため息を吐き、
「確かに」
クロスの言葉にホックはおかしな事を言ったと豪快に笑う。
「ふざけるな!!」
クロスとホックの様子に男はよほど頭にきたようで男は開始の合図を待たずにクロスの肩先に切りかかってくるが、
(……遅いな)
クロスはため息を吐きながら、剣を交わすと、
「おわっ!?」
男は酔っ払っているせいもあるのか自分の勢いに倒れ込みそうになり、
クロスはバランスを崩しかけている男の足を軽く蹴り飛ばすと、男は手から剣を放り投げて、前のめりに倒れる。
「続けるか?」
クロスは男が放り投げ宙を舞っている剣をつかむと男の首筋にあてる。
「ぐっ」
男は悔しそうな表情をするが、クロスが気に入らないようでクロスを睨みつけている。
「……答えろ」
クロスがもう1度、男に向かい聞くと、
「……降参だ」
男は『こんなガキに自分が負けたのは酒が入っているからだ。実力ではない』と思っているようでクロスを軽く見下したように言う。
「……ずいぶんと偉そうだな?」
男の態度にクロスは自分の相手の実力を計る事もできないくせに偉そうにしている男にいらだっているようで、そう言うと剣で男の首筋に軽く傷をつける。