story.36
「あの、クロスさん」
セフィは水浴びを終えると、焚き火に枯れ木をくべているクロスに声をかける。
「何だ?」
クロスが短く返事をするのを見て、
「私のせいで、野宿になってしまって、申し訳ありませんでした」
セフィはクロスに向かい、改めて頭を下げるが、
「そんな事を言ってる暇があったらさっさと寝ろ。明日は早めに出発して、ホックに追いつきたいんだ」
クロスは面倒くさそうに答えると、
「わかりました……」
セフィはクロスに何かを聞きたげな表情をする。
「……何だ?」
クロスはセフィの視線に何かを感じたのか聞き返すと、
「さっき、クロスさんに教えていただいたところで、エルフの少女に出会ったんですけど、クロスさんは会いませんでした?」
セフィは先ほど出会った少女が街道に出てきてないか知りたいようでクロスに聞く。
「見てないな。エルフだったのなら、精霊達から声を聞くと考えれば街道を歩かなくても道に迷う事も無いだろうし、この辺に住んでるのかも知れないな」
クロスは興味なさそうに答えると、
「そうですか」
セフィは頷き、
「これで良いだろ。早く寝ろ」
クロスはセフィの相手をするのが面倒なようで冷たく言う。
「もう1つだけ、クロスさんはどうして……」
セフィはクロスが教会や神を信じない事を聞きたいと思ったようでクロスに向かい言うが、
「……」
セフィの言葉にクロスは察しがついたようで答える気はないと言った感じで、鋭い視線でセフィを睨みつけると、
「……ごめんなさい」
セフィはクロスの様子にこれ以上聞いてはいけないと判断したようでクロスに向かい謝ると毛布をかぶる。




