story.35
「あれ?」
セフィがクロスの言っていた場所に着くと先客がいたようで、月明かりにエルフの少女の姿が照らされている。
(……綺麗)
セフィはエルフの少女の姿に見とれているのか少し呆けたような感じで立ち尽くしていると、
「クー?」
フィルはセフィが立ち尽くしている意味がわからずに首を傾げる。
「ジョセフ?」
エルフの少女はフィルの声に連れが着たと思ったようで仲間の名前と思われる名前を呼ぶが、
「……誰ですか?」
セフィの姿を見た後、セフィを少し警戒しながらセフィに聞くと、
「ご、ご、ごめんなさい!?」
セフィは声をかけられた事に驚きの声をあげるが、
「クー?」
フィルは相変わらず、セフィが驚く意味がわからずに首を傾げている。
「お、驚かせてすいません。月明かりに照らされているアナタがとても綺麗で」
セフィは口早に少女に向かい言うと、
「ありがとうございます」
少女はセフィの反応が良くわからないと言った感じで苦笑いを浮かべながら言う。
「アナタも水浴び……」
少女はセフィにここにきた理由を聞こうとするが、セフィの全身にかかり固まっている赤黒い血液を見て、何かを思い出しているのか怯えたような表情をし、
「ア、アナタのその格好は?」
セフィに恐怖を感じたように聞き返す。
「こ、これは違います……」
セフィは少女が怯えている意味に気づいたようで全力で否定すると、少女に向かいクロスに助けられた時の事を説明すると、
「そうですか。アナタも怖い思いをしたんですね」
少女はセフィに何か同じ匂いを感じたのかそう言い、
「疑って申し訳ありませんでした」
セフィに向かい頭を下げた後、
「私、もう行きますので」
そう言うと服を着て駆け出して行く。




