story.27
クロスは男を斬り捨てた後、
「フィル」
フィルに何かを伝えようとフィルの名を呼び、
「クー」
フィルはクロスの言いたい事がわかってるようでパタパタと飛んでいき、
(……俺も始めるか)
クロスは何かを始めようとすると、
「クロスさん、あなたはどうしてあんな事をしたんですか? あの人だって、まだ……」
セフィは目の前でクロスによって奪われた命に対して涙を流しながら、クロスを睨みつけて何かを言おうとする。
「あの傷は致命傷だ。治癒魔法も効かない状態で、見殺しにするよりはマシだ」
しかし、クロスはセフィの言葉を聞くつもりはなく、そう言い切ると、
「そんな事、ありません!! 神の愛は絶対です。あの人だって、助けられたはずです」
セフィは納得する気もないようでクロスに向かい言う。
「道化に囚われたものは惨めだな」
クロスはセフィを哀れむように言うと、
(……それは俺も変わらないな)
父親の命を奪ったものへの復讐を誓った自分の事を考え、自虐的な笑みを浮かべる。
「私は惨めなんかじゃありません!! 神の愛は絶対です。治癒魔法だって、効いたはずです。それなのに、それなのに……」
セフィはクロスの言葉など認めようとせず、クロスにつかみかかろうとするが、
「……」
クロスはセフィを避け、
「フィル」
ここにいる理由はないと思っているようで、フィルに頼んだ事への状況を聞くために、フィルの名を呼ぶと、
「クー」
フィルはクロスからの頼み事を途中にして、セフィを励ます事を優先させたようで、セフィの周りをパタパタと飛び回っている。