story.26
「お前が教会に恨みを持っていようが知った事ではない。それでお前らが旅人を襲ったのは筋違いだ」
クロスは吐き捨てるように言うと、
「かもな。だけどな。俺達はやらなければならない事がある。偽りの愛や正義を語る奴らを追い払うために力を手にしなければならない。手段を選んでいる暇などない」
男は自分達の行動を正当化しようとするが、
「それはあいつらと変わらないな」
クロスは男の言葉を切り捨て、
「とりあえずは、近くの宿場町まできて貰おう」
そう言うと、
「お前も俺達と同類だろ? お前もこいよ。あんな奴らをのさばらせて良いと思っているのか?」
男はクロスに仲間になれと言うが、
「悪いな。俺はそんなものに興味ない。お前達がやろうとしてるのは自分達が教会に成り代わろうとしてるだけだ。そんなものに協力する気はない」
クロスは言い切る。
「……そうか」
男はその言葉で何かを理解したようで、
「お前は俺達の事を浅はかだと言うのだな」
クロスを睨みつけて言うと、
「俺には人の考えを批判する資格はない」
クロスはそう答え、
「お前の中にもずいぶんと根深い恨み(もの)がありそうだな」
男はクロスを哀れむように笑う。
「……関係ないだろ」
クロスはそう言うと、
「行くぞ」
男に向かい言うが、
「悪いな。俺は生き恥をさらすつもりはねぇよ」
男はそう言うと隠し持っていたナイフで自分の首をかっきる。
「……」
男の様子にセフィは顔を青くしながらも男にかけより、男の傷口を押さえ、必死に治癒魔法を唱え、男の傷を癒やそうとするが、
「ど、どうして?」
男に治癒魔法は効果がない。
「……お前らの信じる神はずいぶんと底が浅いんだな」
クロスはセフィに吐き捨てるように言うと、
「……どけ」
クロスはセフィから男を引き離し、男を斬る。




