story.24
「……殺せ」
男はクロスの言葉に答える気はなく、仲間が逃げる時間も稼げたと思っているのか、そう言うと、
「そうか」
クロスは男の潔さに剣を振り下ろそうとするが、
「クロスさん、ダメです!!」
セフィはそう叫びながら、クロスの腕にしがみつき、クロスを止める。
「……何で、お前が出てくる?」
クロスは縛られているはずのセフィがここにいる意味がわからずに聞くと、
「フィルちゃんが縄を解いてくれました」
「クー♪」
フィルがセフィの縄を解いたようでセフィの後ろをパタパタと飛んでいる。
「そうか」
クロスは納得がいかないながらも頷くと、
「離せ。これはお前には関係ないだろ」
クロスはセフィに邪魔だと言うが、
「降参した相手に剣を向けるなんて間違ってます。神の教えに反します」
セフィはクロスから手を離す気はない。
「……お嬢ちゃん、悪いが俺は神の教えなんかで助けて貰う気はねぇよ」
しかし、セフィに庇われている男がセフィの言葉に嫌悪を示し、
「どうしてですか!!」
セフィは男の言葉が信じられないのか声をあげて、男に聞き返す。
「言葉の通りだ。俺は神に祈るような事はしない。神なんてくそくらいだ!!」
男が吐き捨てるように言うのを見て、
「どうしてですか? 神様はあなたのように道を外した……」
「お前らはどうして、俺達が道を外したと言う!!」
セフィは男に神の教えを説こうとするが、男はセフィの言葉を遮り、
「お前は何様のつもりだ? 道を外した? それは誰が決めた? 神ってのが決めたのか? それとも神って言葉を盾にして、自分達の都合の悪い者達を排除していく教会と言う名の権力者か?」
男は教会に恨みがあるようでセフィを怒鳴りつける。