story.17
クロスとホックのパーティーが依頼につき、2日ほど過ぎた時、
(……囲まれてるな)
クロスは自分を囲むように一定の距離を保っている気配を感じ、
(……10人か? ……血の臭いもするし、簡単には通してくれなさそうだな)
囲んでいる人数の気配を探り終えると、
「……ホック」
ホックの名を呼ぶ。
「流石はクロスだな」
ホックはクロスの言いたい事がわかったようで苦笑いを浮かべながら、クロスを誉めると、
「……他の奴らは気づいてないようだな」
クロスは他の人間が気づいてないと判断したのかホックに聞き返す。
「襲撃されるような依頼につくのは初めてだしな」
ホックは苦笑いを浮かべたまま言うと、
「大丈夫なのか?」
クロスはため息を吐いた時、ホックは真面目な表情をし、
「微かに血の臭いもするし、もしかしたら、先に進んでいた旅人が襲われている可能性もあるな」
「……あぁ。相手は10人。こちらはけつの青い新人ばかり、戦力的には分が悪そうだな。あいつらがどれだけ役に立つかもわからないし、正面からの総力戦は止めた方が良いな」
クロスは冷静に戦力を分析したのか足手まといが多すぎると言い切ると、
「そう言うな」
ホックはため息を吐いているが、
「一先ずは先手必勝か?」
クロスはホックの様子など関係なさそうに話を進めようとする。
「麻痺とか催眠系の魔法はかかると辛いからな」
ホックはクロスの言葉に苦笑いを浮かべながら同意すると、
「それじゃあ、どうする?」
クロスはホックに戦術を確認する。
「一先ずは1番固そうなところにお前が突っ込む♪」
ホックは笑顔でクロス無茶な事を言い、
「無難な策だな」
クロスは表情を変える事なく頷くと、
「1番固そうなところは魔法使い系とその壁役がいるはずだから、お前が行くのが妥当だろ?」
ホックはクロスに危険なところに突っ込めと言い、
「まあな」
クロスはホックと同意見のようで頷く。
「一先ずは囲んでる奴らにバレないように……」
クロスとホックが打ち合わせを始めていると、
「ホックさん、依頼者が馬車に酔ったって」
パーティーの1人がクロスとホックの心配を余所に依頼主が馬車に酔ったと伝えにくる。