story.12
「フィルもいるし、どうにかなるだろ」
黙り込んでいる店主にクロスが言うと、
「……」
店主は少し考えるような素振りをするが、
「……ダメだ」
考えは変わらないようである。
「……俺程度では請け負えない仕事なのか?」
クロスは長年、冒険者に仕事を斡旋している店主がクロスには任せられないと言うので、自分の力量が不足しているのかと訪ねると、
「そう言う訳じゃねぇ……」
店主はクロスの力量を認めているようで歯切れが悪い返事を返す。
「長年、この仕事をしてきたあんたが『俺には任せられない』と言うなら諦めるが……」
店主の態度にクロスは訳を聞かせろと言うと、
「……仕方ない」
店主は諦めたようなため息を吐き、
「一応は、依頼者の希望でな。『口の堅い冒険者で腕の立つ奴を2人以上』って条件があってな」
1人で仕事をするクロスに任せられない条件があると答える。
「……どんな条件だよ」
その条件を聞き、疑問の声をあげるクロスを見て店主は苦笑いを浮かべ、
「それだけ、重要な仕事なんだろ。うちに来るヤツらで考えるとお前とホックに任せたいが、ホックは後輩の指導に忙しいし、お前は他の人間とは組めないと言うしな」
自分なりの意見をクロスに伝える。
「……フィルが相棒ではダメと言う事か?」
クロスは自分の相棒のフィルの名を出すが、
「あぁ、フィルを連れて行って依頼人の機嫌を損ねるよりは、うちの店にはそんな仕事を請け負える人間はいねぇの方がうちの看板には傷がつかねぇ」
店主はフィルではダメだと言い切ると、
「……その答えもどうなんだよ?」
クロスは疲れたようなため息を吐き、呆れたように言う。
「仕方ねぇだろ。ここら辺は割と安全な地域何だから、お前やホックがいる事が異常なんだよ」
店主はクロスの機嫌をとろうとしてるのか笑いながら言うのを見て、
「……仕方ない」
クロスは店主と話をしながら、依頼に対して納得できない部分もあるようだが、店と依頼者の条件を考え納得したように頷いた時、
「あの〜、それ、私じゃダメですか?」
クロスの隣で食事をしていたセフィが不意に声をあげる。