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story.10

朝になり町まで行く途中で、


(……あれは?)


先に出たはずのセフィが道から外れた所で見つける。


(……まさか迷って無いよな?)


クロスはセフィに見つかると面倒なので先を急ごうとするがフィルがセフィに飛びつくと、


「あっ!? フィルちゃんにクロスさん」


セフィはフィルを抱き締め、嬉しそうな表情をする。


「……お前はこんなところで何をしてる?」


クロスはフィルの行動にため息を吐きながら、セフィに聞くと、


「いや、ちょっと寄り道を……」


完全に迷っているようでセフィが気まずそうに視線を逸らす。


「……そうか。フィル、行くぞ」


「クー」


クロスは名残惜しそうなフィルをセフィから引き離し町に向かおうとすると、


「ま、待って下さい。わたしも行きます」


セフィは慌てたようにクロスについて行くと言う。


「用があるんだろ?」


クロスはセフィの様子に冷たく言うと、


「………迷ってました」


セフィは恥ずかしそうに答える。


「……はぁ、こんなとこで迷うのにどうやって俺のとこまできたんだよ」


クロスはセフィの答えを予想はしていたが、考えられないセフィの間抜けさに疲れたようなため息を吐くと、


「………わからないです」


セフィが泣きそうな表情で答えるとフィルがクロスを非難するような目をする。


「……泣きそうな顔するなよ。俺が虐めてるみたいじゃないか」


「………すいません」


小さくなり謝るセフィを見て、クロスはもう1度ため息を付き、


「はぁ、キリがないな。ほら、昨日の店までなら一緒に行ってやるから行くぞ」


「ありがとうございます」


クロスが案内すると言うとセフィは余程嬉しかったのか。クロスに抱きつこうとするが、クロスはセフィを交わす。


「どうして避けるんですか!?」


「何となくだ。それより行くぞ」


セフィを連れて町まで歩く中、セフィはクロスの事を聞いてくるがクロスは一切答えず重い空気のまま店に向かう。


冒険者の店


「カラーン」


店は昼も近いせいか混み始めている。


「親父、日替わりと」


クロスは店に入るなり、カウンターに座り言うと、


「クー」


「フィルにはいつものだな」


店主は苦笑いを浮かべながらフィルのメニューを決める。


「あぁ」


クロスは頷くと、


「そっちの嬢ちゃんは?」


店主はセフィに向かい聞く。


「同じものを」


セフィは店主の言葉に慌てながら答えると、店主は頷き、飯を作り始め、


「で、坊主。どうやって嬢ちゃんをたらし込んだ?」


店主はクロスとセフィを見てニヤニヤと笑いながら言うと、セフィは顔を赤くして慌てているが、


「たらし込んでない。この女、昨日の事が気に入らなくて、わざわざ文句を良いにきた上にご丁寧に道にまで迷いやがったんだ」


クロスはため息を吐きながら答える。


「それで泊める代わりに、無理矢理か?……鬼畜だな」


店主はクロスをからかうように言うと、


「そんな事無いです!! クロスさんは優しかったです」


セフィはクロスをかばうように言うが、


(……こいつ、やっぱりバカだ)


セフィのズレた発言により店の中に歓声があがる。


「……おい。お前は少し考えてものを言え」


その歓声にクロスはため息を吐きながらセフィに言うと、


「何がですか?」


セフィはクロスの言葉に何かを考えついたようで、


「………あっ!? すいません。変な意味じゃないです」


真っ赤になりうつむいてしまう。



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