story.105
「クロスさん、今日も泊めてください」
「……いい加減にしろ」
クロス達が受けた依頼から3日が過ぎた頃、蒼き剣亭でセフィは今日も宿は開かないようでクロスに泣きついていると、
「……お前らは相変わらずだな」
「……このバカと一くくりにするな」
エリトラは食事のためにホールに降りてきたようで、2人の様子を見て、苦笑いを浮かべるとクロスはため息を吐きながら言い返す。
「なぁ、ジル、セフィの分くらいは確保できないのか?」
「今は忙しい時期だから、無理だよ」
「そう言えば、忙しい時期って何かあるのか?」
エリトラはセフィが哀れになってきたのかジルに向かい聞くが、ジルは苦笑いを浮かべながら言うと、エリトラはジルの答えに首を傾げると、
「クロス、あたしは忙しいから説明よろしくね」
「……何で俺が」
「まぁ、良いじゃないか」
ジルは本当に忙しいようでクロスに説明を頼むとクロスは不満げに言うが、ジルはクロスの様子に苦笑いを浮かべて仕事に戻って行き、
「それで、何があるんだ?」
「祭りだ」
「……いや、一言じゃなくきちんと説明しろよ」
クロスはエリトラに向かい一言で片付けようとするが、当然、エリトラが納得するわけがなく、ため息をついた時、
「この街で鍛冶師や細工師達が自分の技量を競うお祭りがあるんだよ」
「リシェルさん」
「セフィ、元気そうだね、クロス、エリスからの預かりもんだ」
店のドアが開き、クロスの剣を持ったリシェルが店の中に入ってくる。
「……あぁ」
「エリスから聞いてはいたけど、本当にあのエリトラ=ハルハザードがいるなんてね」
「リシェルさん、そんな風に言うのは失礼ですよ」
「ん? そうかい?」
リシェルがクロスに剣を手渡すとエリトラに近づき、彼を興味深そうに見て言うとセフィは慌てながらリシェルに言うが彼女が気にする様子はなく、
「リシェル=イェブナレスだ。あんたの噂は聞いているずいぶんと腕が立つみたいだね。機会があったら、あたしの仕事を手伝って貰えないかい?」
「エリトラ=ハルハザードだ。機会があればな」
リシェルはエリトラに向かい握手を求めるが、エリトラはただ挨拶をするだけであり、
「ふむ。どうやら、警戒されているようだね」
「……そんな事より、本題はなんだ?」
「本題?」
リシェルはエリトラの様子を見て苦笑いを浮かべていると、クロスはわざわざリシェルが自分の剣を持ってきた事に何か裏があると思ったようでそう言うと、セフィはクロスの言葉に首を傾げると、
「流石はクロス、話が早いね。物分かりが良いとこっちとしては助かるよ」
「受けるかは別だ。お前がこんな時期に持って;来るって事は厄介な仕事のはずだからな」
リシェルはクロスの隣に座るが、クロスは話だけは聞いてやると言い、
「冷たい男はもてないよ……まぁ、もうセフィがいるからもう関係ないって事かい?」
「ふぇっ!?」
「……くだらない事を言うな。俺もお前の相手をしているほどヒマじゃないんだ。話すならさっさとしろ」
リシェルはクロスとセフィを交互に見てニヤニヤと笑うとセフィは声を裏返して驚き、クロスはリシェルの言葉に呆れたようなため息を吐く。