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story.104

蒼き剣亭


「おかえり」


「おそかったな」


クロス達が蒼き剣亭に帰ると店主であるジルとともにパナシェが4人を出迎える。


「ただいま。帰りました」


「……」


「クロス、何でお前がいるんだって顔で見ないでくれるか?」


セフィは2人に向かい笑顔で答えるが、クロスはパナシェの相手をするのが面倒そうな表情をし、パナシェはクロスの顔を見て苦笑いを浮かべる。


「まぁ、とりあえずはみんなが無事に帰ってきた事を喜びなよ」


「そうですよ。誰1人欠ける事なく帰ってきたんですし」


「クー」


クロスとパナシェの様子にジルが苦笑いを浮かべながら言うとセフィはジルの言葉を肯定すると、フィルは大きく頷く。


「セフィの言う事も一理あるだろ。とりあえず、歩きっぱなしだったんだし、座ろうぜ」


「……」


「クロス、報告を済ませてくれないか?」


エリトラがため息を吐きながらカウンター席につくが、クロスは早いところ帰りたいのか席に座らず、パナシェはそんなクロスに仕事の報告をしろと言う。


「……報告なら、そっちの2人から受けろ。ジル」


「悪いね。報酬はパナシェが直接渡すって言うから、あたしは持ってないよ」


「そう言う事だ。早く済ませたいなら、早く説明しろ」


クロスは報告をセフィとエリトラに押し付けて帰ろうとするが、パナシェはすでにクロスの行動を読んでいたようでクロスに向かい再度、説明を求めるとクロスは不機嫌そうに席に座り、セフィは慌てた様子でクロスの隣に座る。


「……なるほどね」


クロスからの報告を受けてパナシェは真面目な表情をして頷くと、


「この件で君達にまた仕事を依頼するかも知れないが、その時はよろしく頼む」


「はい」


「あぁ……」


調査の内容次第でまた何か仕事を頼むと言うとセフィとエリトラは返事をするがクロスは返事をする事はなく、そんなクロスの様子にパナシェは苦笑いを浮かべる。


「それじゃあ、報酬とセフィ、エリトラ、昨日の返事を聞かせて貰ってもいいかな?」


「昨日の返事?」


「剣の旅団に入るかどうかだろ」


パナシェはセフィとエリトラに向かいギルドへの登録をどうするか2人に聞くがセフィは何の事を言われているかわからないようで首を傾げ、エリトラはため息を吐く。


「あぁ、それでどうする?」


「えーと」


「俺は入らせて貰う。旅団にいれば使える前衛も紹介して貰えるんだろ?」


セフィはどうするか何も考えていなかったようで、悩み始めるがエリトラは自分の仕事をする上でメリットがあると判断したようで入団すると言う。


「セフィはどうする?」


「えーと、クロスさん、どうしたら良いですかね?」


「……俺に聞くなと言ってるだろ」


セフィは決めきれないのかクロスにアドバイスを求めるが当然、クロスからの解答は決まっており、


「えーと、もう少し考えさせて貰って良いですか?」


「あぁ、クロスと組んで実力が上がってくれた状態で入団してくれてもこちらは構わないよ」


「……何で、俺がこいつと組まないといけない?」


セフィは問題を先送りにするとパナシェは苦笑いを浮かべて言い、クロスはその言葉に反論する。


「何でと言われると今回の依頼の件でセフィがクロスと組んだ事は知れ渡ったわけだしね。知れ渡ったわりには実力は伴ってない。ギルドに入ればこちらから仕事を回せるが個人で動くならそこそこ上の仕事が回される事になると思うよ。と言うか、個人指定の仕事が来るようになる」


「おい。お前、旅団に入れ」


パナシェはイタズラな笑みを浮かべるとクロスは頭を押さえながらセフィに向かい言うが、


「フィルちゃん、これからもよろしくお願いします」


「クー」


セフィはフィルに向かい頭を下げ、フィルは任せろと言いたげに声を上げ、


「……クロス、諦めたらどうだ?」


「……」


エリトラは苦笑いを浮かべながらクロスに言う。


「まぁ、話は決まったようだし、俺はまだやる事があるからこれで失礼するよ。エリトラ、登録手続きはジルに聞いてくれるかい」


「あぁ」


パナシェはそう言うと報酬をカウンターに置き店を出て行く。


「フィル、俺達も帰るぞ」


「クー」


クロスは店を出て行こうとするが、


「クロス、セフィちゃんも連れて行きなよ」


「なぜだ?」


「だって、セフィちゃん、宿取ってないし、うちはもう満杯だしね。1泊するのも2泊するのも変わらないだろ」


ジルがクロスを呼び止め、ここにはセフィを泊める部屋はないと言う。


「……おい。何でお前は朝のうちに宿を取ってないんだ?」


「えーと、忘れてました」


「クー」


クロスは額に青筋を浮かべながらセフィに向かい言うと、セフィは小さくなりながら申し訳なさそうに言い、フィルはセフィを守るようにクロスとセフィの間に立つ。


「……ちっ。行くぞ」


「は、はい!? エリトラさん、今日はありがとうございました。また、一緒にお仕事をしましょう」


「いや、遠慮する」


クロスは舌打ちをしながらも諦めたようで歩き始めるとセフィは慌てて返事をした後、

エリトラに向かい言うが、エリトラはセフィの誘いを断る。


「どうしてですか!?」


「どうしてと言われるとツッコミが足りてないからだな。それより、クロスを追いかけ

無くて良いのか?」


「あっ!? クロスさん待って下さい」


セフィは慌ててクロスを追いかける。



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