story.102
「エリトラが助けないなら、放置で良いだろ。調べ物で役に立つとは思えん」
「……確かに」
「そ、そんな事を言わないでください!? それに、私だって何かの役に立ちますよ」
しかし、クロスはセフィを助ける気などないようでセフィを見捨てるとエリトラもセフィは調べ物には役に立たないと判断したようで頷き、2人の様子にセフィは声をあげる。
「……無理だな」
「無理だな」
「……クー」
クロスはセフィを見下すような視線を向けてセフィに言い、フィルとエリトラは苦笑いを浮かべながら同意する。
「ど、どうしてですか!?」
「いや、何となく、今までの状況を見て」
「静かにしてないと調査が終わっても置いて帰るぞ」
セフィは声をあげるとエリトラは苦笑いを浮かべたまま言うが、クロスは本当にセフィが調査の邪魔だと決めつけているようでそう言い、調査を再開しようとすると、
「クロスくんもエリトラさんも意地悪を言ってないで助けてあげてください」
「エリスちゃん」
「べたべたするから、抱きつかないで下さいね」
エリスが我に返ったようでセフィを捕えている糸を外して行き、セフィはエリスが助けてくれた事に感動したのかエリスに抱きつこうとするが、エリスは笑顔で拒絶する。
「た、助けてくれてありがとうございました」
「いえ、どういたしまして」
セフィはエリスの対応に少し微妙な表情でお礼を言うがエリスは気にする事なく頷き、
「……なぁ、エリスは黒いのか?」
「天然なだけだ」
「クー」
2人の様子にエリトラは苦笑いを浮かべる。
「特に何もなさそうだな……エリス」
「どうかしましたか?」
しばらく、調査をしてみるが結局何も見つからずにエリトラがエリスを見ると彼女はしっかりと巨大蜘蛛の牙を取り外している。
「……いや、良い。それで、一応、こいつのとどめを刺した後は唸り声も聞こえなかったし、奥に有った卵は燃やした。唸り声の正体は排除したけど、どうする?」
「……現状じゃ、何とも言えないな。この入口にあった仕掛けを作った奴やこの蜘蛛をここに配置した人間の意図が見えない」
「だよな」
エリトラはエリスを軽く無視しながらクロスに向かい聞くとクロスはここまで進んできた経緯を思い出しているのか何かが引っかかっているようでそう言うと、エリトラもクロスと同意見のようで真面目な表情で頷く。
「ですけど、そろそろ、帰りましょう。このままじゃ、いつまで経っても何も答えは出ないですし、遺跡を調査する人達に状況を説明して、そちらの方も調べて貰いましょう」
「……まぁ、そうなんだけどな」
クロスとエリトラの話を聞いて、エリスが彼女のなりの意見を述べるとクロスとエリトラもその事はわかっているようで頷く。
「……フィルちゃん、私、置いてけぼりです」
「クー」
3人がこの後の事を話しているなか、セフィは自分がこの本当に役立たずだと理解したのか座り込んでフィルに向かい愚痴をこぼしているとフィルはセフィの肩を叩きながらセフィを励ましている。
「原因は遺跡の中にあるかも知れないが今はどうしようもないからな。依頼は達成したし、今日はこれで帰ろう」
「そうですね」
「おい。そこでいじけてるなら置いて帰るぞ」
「ま、待ってください!?」
このままここにいても何も変わらないと判断したようで街に帰る。