story.101
クロスの剣が振り下ろされると巨大蜘蛛の頭が地面に落ち、巨大蜘蛛の赤い体液が切断面から吹き出し、クロスを真っ赤に染めて行く。
(……折れたか)
クロスは巨大蜘蛛の首を斬り落とすと先ほどまでともに戦っていた剣にも限界がきたようで刃の根元からぽっきりと折れてしまう。
「……」
クロスが折れた剣をフィルとエリスはクロスの元に駆け寄ってくるなか、後ろからエリトラがゆっくりと歩いてくる。
「クロスくん」
「……何だ?」
エリスはクロスの名前を呼び、クロスは鬱陶しそうに返事をすると、
「いつもの事ですけど、どうして、仕事をするたびに剣をダメにするんですか?」
「……悪い」
「……言うべきとこはそれなのか?」
エリスはにっこりとほほ笑みながらクロスに向かい言うが、その額にはしっかりと青筋が浮かんでおり、クロスは若干怯んだのか素直に謝り、2人の様子にエリトラは苦笑いを浮かべる。
「当然です」
「いや、エリスは鍛冶師なんだろ。剣が折れた方が儲かるだろ」
「確かに目先の事を考えればそれが良いのかも知れませんけど、武器は使用者の命を守る砦、ともに歩むパートナーなんです。そんなにポンポンと折られたら、その子達が可哀想です」
エリトラの言葉にエリスは当然だと言い切るとエリトラは苦笑いを浮かべたまま言い返すが、エリスは何かのスイッチが入ったのかおかしなテンションで話し出す。
「……クロス」
「気にするな。それより」
エリトラはエリスを見て、クロスに助けを求めるが、彼はすでになれているのかエリスの暴走を気にする様子はなく、巨大蜘蛛がここにいる理由を調べようとしているのか巨大蜘蛛の死体を調べ始めている。
「……おい」
「……」
エリトラはクロスの行動にため息混じりでクロスを呼ぶが、クロスは気にする事なく、死体を調べ続けている。
「クロスさん、エリトラさん、助けてください」
「……ん? セフィ」
「……忘れていたな」
エリトラがクロスの様子を見て、ため息を吐きクロスを手伝おうとした時、セフィの声が聞こえ、クロスとエリトラはセフィは巨大蜘蛛の糸に絡まったまま地面に転がってるのを思い出す。
「うぅぅ、忘れるなんてひどいですよ」
「クー」
「あぁ、悪い」
「……避けないお前が悪い」
クロスとエリトラがセフィを回収しに行くとすでにフィルはセフィの元に来ており、セフィは涙目で2人に向かい言うとフィルはセフィに同意を示し、エリトラはセフィに向かい謝るがクロスが謝る事はない。
「まぁ、とりあえずは糸を外すか?」
「お願いします」
エリトラはセフィの様子に苦笑いを浮かべて言うとセフィは地面に転がったまま、エリトラに向かい言うが、
「……やっぱり、クロス、お前がやれ。俺はあれを調べてくる」
「……断る。お前がやれ」
エリトラはセフィをクロスに任せると言い、クロスは当然、その言葉を拒絶する。
「どうして、2人して嫌がるんですか?」
「今、お前に騒がれると調べ物が壊されそうだからだ」
「いや、クロスの方が適任だと思っただけだ」
セフィはいつまでも助けてくれない2人を見て言うと、クロスはセフィが調べ物の邪魔になると言い、エリトラは何かあるのかクロスに任せると言う。




